第5話005「気づくと異世界転生〜神託の儀〜②」
私の順番の前の子が『火魔法特級士』という『
この時、赤ちゃんながら思ったのはもちろん、
「この後に『
である。
しかし、無情にも順番はやってきた。
私の家⋯⋯ウォーカー家の当主である父は『風魔法特級士』、そして母は『光魔法上級士』といういずれもレア称号持ちということもあり、周囲は私が「少なくとも『レア称号』を得るのは間違いないだろう!」とハードルをモリモリに上げてくれていた。
そんな異様な雰囲気の中、私は水晶に手をかざした。
すると、今日一番の光が⋯⋯しかも七色⋯⋯虹色の光が⋯⋯周囲に一斉に放たれた。この
「ばぶ! ばぶばぶばぶぁぶぁ〜! ばぶばぶばぶぁーっ!!(よし! 虹色演出は『
——が、しかし、
「ウォーカー辺境伯嫡男! ラルフ・ウォーカー様の称号は⋯⋯⋯⋯⋯⋯『生活魔法帝』です!!」
「「「「「え⋯⋯?」」」」」
周囲が司祭の言葉に絶句した。
「そ、そんな、バカなっ?!」
それは両親も、
「ば、ばぶぁっ?!」
そして、赤ちゃんである私本人も⋯⋯⋯⋯この場にいる全ての者が絶句した瞬間だった。
********************
私が『神託の儀』で得た称号は『生活魔法帝』という見たことも聞いたこともない称号だった。
最初、『
しばらくすると、そんな称号をもらった私に対して、同情や落胆の声が上がってきた。
「あの『風魔法特級士』の称号を持つウォーカー家の嫡男が⋯⋯まさか風魔法どころか光魔法でもない⋯⋯ただの『生活魔法』の称号を得るとは⋯⋯」
「そうですな。現当主のヘミング・ウォーカー様の血を引く次期当主であろうラルフ様が、まさか⋯⋯生活魔法の称号を得る⋯⋯など⋯⋯」
「生活魔法なんて⋯⋯そんなの⋯⋯平民と変わらないじゃないかっ!!」
「コラっ! やめろ! 聞こえるだろっ!!」
「これじゃあ、現当主のような活躍は難しいだろうな⋯⋯」
「いやいや、それどころか貴族としての将来もかなり厳しいだろう。なんせ、六大魔法が使えず生活魔法しか使えないわけだからな」
「しかし、『生活魔法帝』などという称号は初めて聞きましたな〜。『
「そんなことはどうでもいいじゃろう! 帝王だろうが皇帝だろうが『生活魔法』じゃどうにもならんわい!」
周囲の声や反応から見るに、私が得た称号『生活魔法帝』というのは見たことはないものの、おそらく平民でも使える魔法『生活魔法』しか使えない称号だろうという意見で一致し、私や両親に同情の声が広がった。
ちなみに『
(そうですか〜。異世界転生といえば『チート魔法が使える』が相場だと思っていたのだがな〜)
そんな神託を受けて落胆する0歳児である赤ちゃんの私に、父は「大丈夫だぞ、ラルフ! 魔法がダメでも剣術や体術を磨けば問題ない! 私がちゃんと導いてやるから心配するな!」とすっごく励ましてくれた。また母のステラからも「何があっても私たちが守るから心配しなくていいのよ、ラルフ」と思わず照れちゃうような優しい言葉をかけてくれた。
最初、両親も私の神託を聞いてショックの声を上げていたが、今では私に心配かけまいと必死に勇気づけてくれている。
まーこの時の私は0歳児⋯⋯赤ちゃんなので、私みたいな『前世の知識と記憶がある状態』でなければ、神様の神託に落胆するも何もなかっただろう。
とはいえ、いずれにしても、そんな優しい言葉をかけてくれた両親を見て、当時の私は改めて「この家族に生まれきてよかった」と胸の奥がジーンとなったのを今でも覚えている。
こうして、私の『神託の儀』は残念な結果に終わった。
と思われたが、しかし、それは
のちに、それは、残念な結果ではなく最善な結果⋯⋯。
いやむしろ、『
プロローグ 完
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