第一章<幼少編>

第6話006「生活魔法帝と称号について(1歳〜3歳)」



【第一章<幼少編>】



 3歳になった。


 1つ下に弟と2つ下に妹ができた。


 二人ともとてもとても可愛い。


 前世の私は一人っ子だったので兄弟ができたことが何より嬉しかった。


 これからは弟や妹に尊敬されるようなお兄ちゃんであるよう、さらなる精進を続けると誓った。


 さて『精進』といえば、3歳になるまでいろいろわかったことがあるので、まずはその話からしていこう。



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 この世界に生まれてすぐに発生した儀式イベント——『神託の儀』。



 そこで私は『生活魔法帝』という称号を得た。


 ということで、まずは『生活魔法』について話そう。


 まず、『生活魔法』というのは火をつけたり、水を出したり、明かりをつけたり⋯⋯と『日常生活で使う程度の魔法』のことを言う。これは王族・貴族はもちろん平民や奴隷、誰でも使える魔法だ。


 当然、日常生活程度ということもあって威力は大したことない。例えば、生活魔法の火を出す魔法である『着火ファイア』は、ライターより多少火の勢いが強い程度の火が出るだけだ。


 あと、この世界にはもう一つ『六大魔法』というものがあるが、これがこの世界の主流マジョリティの魔法で、これは『地・水・火・風・光・闇』と六種類の属性魔法の総称のことを差している。


 この『六大魔法』に比べ、生活魔法は「日常生活の一部でしか使えないクズ魔法」と存在価値は著しく・・・低い。



『六大魔法士は有能。生活魔法士は無能』



 こんな言葉が当たり前ように囁かれる——それがこの世界の常識である。


 そんな世界で、貴族⋯⋯⋯⋯しかも『辺境伯』という、この世界の『王族』『侯爵』の次に高い地位を持つウォーカー家の嫡男である私が『生活魔法特化っぽい称号を得たという事実』が、いかに周囲の目が厳しくなるかは想像に難くないだろう。


 これが、今、世間で思われている私ラルフ・ウォーカーの評価であり、同時に私の家『ウォーカー辺境伯家』に対しての世間の評価だった。



********************



 さて、1歳となった私は0歳から続けている読書の結果、この一年でこの世界のことをだいぶ理解することができたので、これからは自分の将来のことを考えて『魔法』について勉強し始めた。


 まー、このまま「何もせずに現実を受け入れる」というのは私の選択肢にはない。


 こうして、新しく生まれ変わり、しかも素晴らしい両親のもとに生まれたのだ。「現実に抗おう」と思うのは至極自然な流れだった。


 そうして、まず最初に手をつけたのが自分の称号である『生活魔法帝』についてだった。


 というのも、この『生活魔法帝』については、実際『神託の儀』のとき司祭や教会関係者がこれまでの歴史でこのような称号は見たこともないし、聞いたこともないと言っており、もっと言えば、書物などにもそのような称号は載っていないとも言って、かなり困惑していたのを覚えている。


 ただ、称号に『生活魔法』と入っていることから、教会関係者は「まー少なくとも生活魔法に関する称号だろう⋯⋯大した称号ではない」という結論に達し、歯牙にもかけなかった。



「クズ魔法である生活魔法に関する称号を得たウォーカー家の嫡男」



 これが、『神託の儀』で周囲の平民や貴族・教会関係者などが認識した私への評価だった。


 この世界の常識からすれば『生活魔法に関する称号』というものは『将来が絶望的である』ということと同義なのだろう。なので、両親が苦悶の表情を浮かべ、足元が覚束おぼつかなくなるのも無理もない話であった。


 ただ、私としてはこの称号について少し気になるところがあった。というのも、本来、生活魔法しか使えない魔法士は皆『生活魔法士』という一種類の称号しか授からないのがこの世界の常識だからだ。


 つまり、私の『生活魔法帝』という称号は、明らかにこの世界では『異端』なのである。


 しかも、さらに奇妙なのは『これまで歴史になかった称号』にも関わらず、司祭や教会関係者が歯牙にもかけなかったことだ。普通なら、少なくとも調査くらいはしてもおかしくない案件だと思うのだが、それすらもしなかった。


 これは一体どういうことだろう?


 まー、そういうことも踏まえて、私は「まず最初にやるべきは、生活魔法帝という称号の調査だ!」と思い、調査を始めた。すると、やはり⋯⋯というか予想通り、魔法書や文献を調べても『生活魔法帝』などといった称号は出てこなかった。


「さすがに、この環境で手に入る書物ではこれ以上の調査は無理か⋯⋯」


 私はここで『生活魔法帝』の調査を一旦保留とした。



********************



 次に、私は『この世界の魔法自体』について勉強し始めた。というのも、私の称号の正体を突き止めるには、生活魔法もそうだが六大魔法とか、この世界の魔法の歴史といったことも知る必要があると思ったからだ。


 それから半年——私はこの世界の魔法の歴史や知識などを習得した。とは言っても、家にある書物の範囲ではあるが。とはいえ、この世界の魔法の常識としてはこれで十分だろう。


 それによると、どうやらこの世界では『神託の儀』で得られる『称号』によって『どんな属性で、どのレベルの魔法が使えるか』というのが決まっているらしい。


 もっと具体的に言うと、例えば、父上の『風属性特級士』で言えば『風属性の特級レベルの魔法が使える魔法士』という意味になる。ちなみに『〜特級士』とか『〜上級士』といったものは『魔法士の階級(魔法士階級)』のことを差す。


 仕組みはざっとこんな感じだ。


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【称号について】

・この世界では誕生した年の12月に王都の大聖堂へ行き、この世界の神様から『称号』というのを得る『神託の儀』が行われる

・称号とは、自分の使用する魔法である『六大魔法(地・水・火・風・光・闇)』と、その魔法をどのレベルまで使用が許されるかという『魔法士階級(下級士・中級士・上級士・特級士)』がくっついたものとなる


<例>

『六大魔法属性(地・水・火・風・光・闇)』



『魔法士階級(下級士・中級士・上級士・特級士)』



『称号名』


※『風魔法『属性魔法』特級士『魔法士階級』』『光魔法『属性魔法』上級士『魔法士階級』』⋯⋯etc


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「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://kakuyomu.jp/works/16817330650503458404


毎日お昼12時更新。


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mitsuzo

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