第3話003「気づくと異世界転生〜生誕直後〜」

<ゲリラ更新>

ノリで深夜0時に更新〜。

尚、今日からは通常通り「毎朝11時更新」となります。


では、また朝11時に〜。ノシ


********************



 目を覚ますと、私は知らない部屋にいた。



 周囲を見渡すと、とりあえずさっきまでいた自分の部屋でないことだけはわかった。



 だとすると、おかしい。



 なぜなら、私は一人で外になど出られない体だったはずだからだ。



 しかし、ここは明らかに私のアパートとは違う。違いすぎる。



 なんせ、部屋の作りや調度品が、まるで⋯⋯⋯⋯まるで⋯⋯⋯⋯『中世イギリス』の貴族の屋敷のようだったからだ。



 とりあえず、私は周囲を探ろうと起きようとした。しかし、どうもうまく起き上がれない。



 まー元々体を悪くしてまともに動けなかったのだが、しかし、どうもさっきとは勝手が違うように感じる。というのも、さっきまで体全体に感じていた針を刺すような鋭い痛みが今はきれいさっぱり無くなっていたからだ。



 訳がわからなかったが、とりあえず痛みがないことにホッとした私は一旦起き上がろうと考え、今度は勢いをつけようと両腕を頭の上まで持っていって反動で起きあがろうとした。



 その時、自分の振り上げた両腕が目に入ると、私は思わずビックリして叫んだ。



「あうあうあ〜(手ぇ小っさ)!」



 え?



 な、何だ?



「あうあうあ〜」⋯⋯だとっ!?



 これって、もしや⋯⋯。



 私は自分の体の異変に『ある一つのあり得ない可能性』が頭をよぎった⋯⋯⋯⋯その時だった。



 ガチャリ。



 扉が開くと、中に巨人の女性・・・・・が入ってきた。



「ラ、ラルフちゃん⋯⋯が⋯⋯目を⋯⋯開けた⋯⋯? 目を⋯⋯目を覚ましたのねっ!!!!」



 そう言うと、その巨人の女性が私を担ぎ上げると・・・・・・・・、彼女のその豊満な胸へと引き寄せ頬擦りした。



 な、なんだ? この巨人女性は? 人間か?



 いやいや、ちょっと待て。



 違う。彼女が『巨人』なのではない⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯私が小さいのだ。



 これにより、私の立てた仮説⋯⋯⋯⋯『ある一つのあり得ない可能性』がほぼ間違いないことが証明された。



「ばぶ、ばぶばぶぶぅ⋯⋯(私は異世界に転生したのだな)」



********************



 私の名は、ラルフ・ウォーカー。



 前世では、地球の日本という国で『田中正夫』という男性として生きていた。


 そして、その田中正夫という人生が75年で終わりを迎えて死んだはずだったが、気がつくと赤ちゃんになっていた。


 前世の記憶を持ったまま。


 地球ではなく別の世界で。



 つまり『異世界転生』である。



 私は『前世の記憶と知識』というアドバンテージと、なぜかは不明だが習ってもいないのに両親やメイドの話すこの世界の言葉や文字が理解できるアドバンテージを活かして、0歳児の頃からいろんな本を読んでこの世界の知識を吸収した。


 ちなみに、両親は生まれたばかりの赤ちゃんが大人の書物を理解して読んでいるのを見て「ウチの子は天才かっ!!」と大層感激し、以降私の望む本を与えてくれた。


 作品ラノベによっては、私のような赤ちゃんは気持ち悪がられたり『悪魔の子』と恐れられ捨てられるというハードモードなパターンも存在するので、結果的に喜んでくれた両親には大感謝である。




 さて、そんな読書生活を生まれてすぐに送ったおかげでいろいろとわかったことがある。


 まず、私が生まれ変わったこの世界は『アガルタ大陸』という大きな大陸に存在する国の一つ『セルティア王国』という国の『ウォーカー辺境伯家』に嫡男として生まれた。


 そう、私は『貴族の子』として生まれたのだ。しかも嫡男⋯⋯長男として。


 最初、貴族の子に生まれたということで、前世では決して裕福とは言えない家庭に生まれ、また死ぬ間際も貧乏生活だった私は「良い家の子供に生まれてきてよかった〜」と織田◯二ばりにガッツポーズで生まれてきた環境に感謝したのだが、しかし、しばらくすると、それは『甘い考え』であることを知る。


 というのも、この世界は作品ラノベ同様、『中世イギリス』のような文化・社会である。


 つまり、人間同士の戦争というのが現代の日本に比べて頻繁にあり、尚且つ、貴族はひとたび戦争が起きれば先頭に立って国や民のために戦わなければならない。


 そんな『命の価値が軽い世界観』の異世界で貴族の嫡男として生まれたということは、いつか戦争が起きれば戦場に駆り出されることを意味する。


 こんな世界で生きるには『力』が必要だ。


 そう考えた時、私はあるイベントを思い出す。


 それは、この世界では生まれた年に教会で行われる『神託の儀』というイベントを行うのだが、これは『称号』という神様から授かる力のようなものらしく、その力とは『魔法に関係するもの』らしい。



「ばぶばぶぶぅぅー(異世界魔法キター)」



 魔法がこの世界に存在するというのは本を読んですでに知っていた。


 そして、この『神託の儀』で『称号』を手に入れた後、成長していくにつれ体内に魔力が作られるようになるらしく、それができればすぐにでも魔法が使えるようになるらしい。


 その事を聞いて私は大いにテンションが上がった。


「ばぶ。ばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶー。ばぶ、ばぶぶー(よし。魔力が体内で作られるようになったらすぐに魔法の練習して強くなって、そして、この命の軽い世界で生き残って人生を全うしよう。せいぞ〜ん、せんりゃくぅ〜)」


 というわけで、私はこの世界で戦場に出ることがあっても生き残れるよう、小さいうちから魔法を訓練し強くなるという『生存戦略』を打ち立てた。


 しかも、嬉しいことに、なんと私の家⋯⋯ウォーカー家の当主である父は『風魔法特級士』という強力な魔法を使える『レア称号』を持っているとのこと。なので、この『神託の儀』で授かる『称号』は両親と同じ系統の魔法が授かる確率が高いらしいのだ。


 ちなみに、母は『光魔法上級士』というこれまた希少な光魔法の魔法士らしく、そのため私が授かる称号は『風魔法』か『光魔法』の上位の称号だろうと周囲もそして両親も⋯⋯そして当事者である私も大いに期待した。




「ば〜ぶぅ〜ばぶばぶぁぁぁ〜〜(は〜やく来い来い『神託の儀』〜〜)」

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