小学校入学に向けて(1)洗脳
翌年度の準備は1年前から開始する。
そのヒントやきっかけをくれたのは当然息子だった。
息子が年少から年中に上がったとき、毎年ながら大号泣でイチからのスタート。
慣れるまでには2ヶ月以上かかる。
しかし前年度までと違ったのは、年少時の担任を追って年長の棟まで行き声を出して大泣きするのだった。
(年少時の担任は年長の担任になったため。)
毎日のように息子は「保育園に行きたくない」と言う、それは変わりないのだが
”新年度の雰囲気に慣れてなくて泣く”ではなく
”年少時の先生と離れたくなくて泣く”に理由が変わっていた。
先生を探す息子を見て、胸が締め付けられるくらい切なくなった。
その反面、同じ”泣く”でも成長したように感じて嬉しい気持ちも芽生えた。
”息子の場合、新年度はイチからのスタートで仕方ない”
そう思うことを辞めた。
何かとんでもない考えが浮かぶわけでは無かったが、とにかく出来ることを探す。
年中の1年間は
「次は年長さんになれるね」「年長さんの建物に入れるようになるのが楽しみだね」「年長さん格好いいね」「年長さんになるの楽しみだね」と毎日のように言い続けた。
私と祖母(私の母)の2人がかりで。
たったこれだけのことが息子には良い影響を与えた。
本当にたったこれだけのことなのに、声掛けする・しないで全然違った。
息子は既に2学期から「早く年長さんになりたい」と洗脳されていたのだ。
その甲斐あって年長に上がる新年度は、皆と同じスタートに立てていた。
イチからのスタートではなくなったのだ。
年長になっても「保育園に行きたくない」と毎日言うが、泣かないことがすごかった。
もちろん息子にとって負荷はかかっていたのかもしれない。
でも以前から息子は保育園で我慢している分、家で発散していたからこのまま見守った。
年長になって1年間、同じように声掛けを続けた。
「次は小学校に行けるようになるね」「小学生のお兄ちゃんになるの楽しみだね」「ランドセル格好良くて良いなぁ」などなど・・・。
息子が「うん」とか「そうだね」とか言わなくても、私が小学生を見て羨ましがると息子も自然と洗脳されていく。
保育園は小学校と近かったため、
小学生の通学班に合わせて徒歩か自転車で通園・登園するようにもした。
最初は「車で行きたい」と言っていた息子も、
徒歩や自転車で行くことによって見える新しい景色が楽しくなっていた。
家を建てている様子を見て働く車を見たり
木を見て「セミがいる!」と立ち止まり
通学路を歩くダンゴムシを見つけて眺めたり
川沿いを歩くと「魚がいる!」と喜び
信号があると「ボタン押したい!」と言い
白線を踏まずにジャンプしてみたり
機嫌が良ければすれ違う人に挨拶が出来るようになった。
普段から休日に散歩をしているが、
徒歩や自転車で通園することにより、平日毎日のように交通ルールも学べるのだ。
真夏で暑い日もあった、真冬で寒い日もあった。
それでも小学生は徒歩で通学している。
雨の日に長靴とカッパを着用して水たまりで遊ぶことは好きだったが、傘をさして歩く楽しみも覚えた。
少し服が濡れただけでグズっていたが、それも練習。
敏感なので、家庭でもお茶を服に零して少し濡れただけでも着替え始める。
「少しくらい仕方ない」「少しくらい大丈夫」そう思えるようになって欲しかった。
小学校の見学も年長になって3回行った。
普通級と支援級の見学、それから通級の体験にも行った。
年中時の見学は私から離れられなくて一人で座ることが出来なかったが、年長の見学では一人で座ることが出来るようになっていた。
年中の時に会った先生の顔も覚えていたようだ。
それから小学校の祭りやフリマ等の行事にも積極的に参加した。
息子は年長になって数ヶ月で小学生になる心の準備が出来た。
年長2学期になると、小学校から説明会と健康診断の案内が届いた。
子供は連れてきても良いが託児などは無い。
息子は保育園にいるから当然私一人で身軽に・・・とはならず、息子は保育園を早退して一緒に小学校へ行く。
これも息子にとっての練習。
大人しくできるだろうか・・・?
いつも期待を裏切られるが、やはり期待してしまう。
それでも、駄目だったら一緒に出ていけばいい、それだけのこと。
周りも息子と同じ子を持つ親なのだからある程度の理解はあるだろう。
よっぽど泣き叫びさえしなければ。
保育園は朝早く、帰りは遅いため
同じ時間帯になるのが1~2人のお母さんくらい。
挨拶する程度のママさんたちしか知らない。
説明会・健康診断当日になるまで私自身ネガティブとポジティブの繰り返し。
当日、息子には見通しをつかせるために
給食を食べたら保育園を早退して小学校に行くことを話した。
息子は不安がることなく、早退できること・私と一緒にいられることを喜んでいた。
保育園に迎えに行った時も喜んでいた。
息子が言うには、他にも早退している子がいたらしいいので
同じように小学校に行くのかなと思った。
小学校には20分ほど早めに行った。
早すぎても待つ時間が苦痛だろうし
ギリギリでも心の準備が出来なかったららいけない。
息子には15~20分ほど時間が必要だと思ったし、健康診断がもし先着順だったら早く済ませたいという気持ちもあった(名前順だった)。
それでも既に待っている人がいて、列に並んだ。
偶然前に並んでいた親子が私の送迎時に会うお母さんで、息子が執着している友達だった。
息子は喜んでいたし、私も待ち時間にある程度の情報交換が出来た。
子供を連れて行くのは大変だと思ったけど、意外と連れてきている人が多かった。
知らない子が「息子君ー!」と沢山声をかけてくれていた。
説明会が始まる前は楽しくて体育館を走り回っていたが
説明会が始まると持って来ていたおもちゃや絵本を見ながら
私の隣に座って大人しくできていた、奇跡的に。
寧ろ他の子たちがキャッキャ騒ぎながら走り回っていて
お母さんと追いかけっこ状態だった。
遊びたい盛りなんだからジッとしていられないよなと思い
私と息子を見ているようで微笑ましかった。
健康診断も名前順だったが、きちんと進めることができた。
唯一引っかかったのは眼科健診。
もともと目が弱く、疲れたり環境によって目やにや充血があった。
これは生後4ヶ月で気付き、先天性のものだと言われている。
そしてこの眼科健診で指摘されたのは”斜視の疑い”。
息子の前に並んでいた子も斜視の指摘されている子が何人もいた。
息子も指摘されたので私はすぐに病院で紹介状を手配してもらい、大病院へ受診した。
結果は”偽内斜視”。
斜視に見えるが実際は斜視ではない、子供に多いらしい。
良かったー・・・安堵。
私の家系は目が弱いので心配した。
3学期にも小学校の説明会・物品販売があったが、息子と共に無事乗り越えることができた。
息子が執着している子が2人おなじ小学校に通うと知り、喜んでいた。
私の母校なのだが、子供の数が減っていて2クラスしかない。
2分の1の確率なので、同じクラスになれたら良いなと話していた。
息子は通級に決まっていて、
通級の先生から入学式の前日練習にも誘ってもらえた。
当然、他の子たちは練習なんて無い。
息子のような子だけ声をかけてもらえる。
先生が気にかけてくれる。
無理して普通級にしなくて良かったと思った。
何度も言うが、
毎日のように「保育園に行きたくない」という息子は小学校進学に全く抵抗がなくなっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます