園での行事     ー恐怖との闘いー


保育園に預ける保護者として楽しみなのはやっぱり子供たちを見に行けること!


B園で0歳の時

参観日と運動会を経験していたが、赤ちゃんだったので参観日は親子でのふれあい、運動会は親が抱っこして歩くくらいだったから特に気になることはなかった。


B園を1歳の時に退園、

数ヶ月あいてC園に2歳で入ったため、1歳の時はタイミング的に参加する行事がなかった。





C園での行事は本当にワクワクと胸が高鳴り、楽しみで仕方ない。


・・・でも、それは後に恐怖心へと変わっていく。



《2歳》

●運動会

 息子は観覧席にいる私の存在には気付いていなかった。

 みんなが踊っているなか、一人だけ校庭をグルグルと走り回っている。

 ただ、とても楽しそうに笑っていたので

 親としては「ま、いっか。」くらいにしか思わなかった。


●参観日

 一緒に登園した時点で叫び泣き。

 いつかは落ち着くだろうと思ったが、一向に泣き止まない。

 先生の話は全く聞こえない状況。

 途中から担任のすすめで教室から出ることになり、園庭で子供と2人ポツンと立っていた。

 もっと早く教室を出るべきだったのに、貴重な参観日の時間を奪ってしまった。


●発表会

 全学年の発表会があったが、叫び泣きをしているのは我が子だけだった。

 最初の入場から叫び泣き。

 先生に抱かれて参加していたが、暴れまわるから先生の手に負えない状態。

 発表会の途中で「お母さん迎えに来てあげてください」とアナウンスされたため、

一緒に退場した。

 みんな自分の子供の発表会を見たかったはずなのに、息子の叫び泣きで台無しにしたのではないかと思うと、他の保護者に顔向けできなかった。



《3歳/年少》

●運動会

 前もって担任に「運動会は休みたい」と告げた。

 息子自身も嫌なんだろうし、私にとっても息子の行事はトラウマとなり

 本当に、本当に・・・怖くて仕方なかった。

 しかし担任は「息子君、すごく頑張ってるからお母さんがそんなこと言わないでくださいよ。是非参加して下さい。」と。

 この時の担任は、本当にすごい方で息子自身も伸びてきている時期だった。

 私も、恐怖心の奥底には「本当は息子の運動会を見たい」という気持ちがあったため、参加することに。


 運動会当日。

 入場前から息子が私の存在に気付いてしまった。

 それでも息子は泣かなかったのだ。

 私は「よっしゃー!」と嬉しく思い、調子に乗って手を振る。


 そして息子が入場する時・・・。

 その場で固まり立ち尽くしたまま、息子は入場できなかった。

 お手伝いに入っている先生が抱っこしようとした途端、叫び泣きが始まる。

 過去の叫び泣きがフラッシュバックした私は、慌てて近付き息子を抱っこ。

 その先生に「参加しません!!」と告げると校庭の端っこへと逃げるように走り去る。


 そうすると息子は泣き止んで、頑張っているクラスの友達を遠目で見ていた。

 ただ、何度か声掛けしたが絶対に参加したくないとのこと。


 運動会が終わると、お手伝いの先生がやってきて

 「私の力不足ですみません。もっと上手に息子君を誘導すべきだったのに・・・本当にすみませんでした。」

 と謝ってきたのでした。

 とんでもない!!!

 先生は全く悪くないのに、今にも泣きだしそうな顔。

 本当に謝るべきはこちらなのに申し訳なかった。


 そして運動会はこれでおしまい・・・のはずが!

 翌週先生に呼ばれて遅い時間に園に行くと、先生の手にはビデオカメラが。

 「息子君、運動会の練習本当に練習頑張ってたんです。本番で見てもらえなかったのは申し訳なかったんですけど、どうしてもお母さんに見て欲しくて。」


 運動会に参加できなかった息子のために

 後日クラスのみんなで再び運動会をしてくださったそうです。

 息子を中心にビデオを撮ってくださり、他の保護者には秘密でと見せてくれた。


 本当にこれは息子なのか?

 そう言いたくなるほど、息子は上手に踊っている。

 私は涙が止まらなくなった。

 今までは息子が泣き叫ぶことがただただ嫌だった。

 でも息子は頑張っていたのだ。


●参観日(中止)


●発表会

 休みまーす!とは、今回は言わなかった。

 ただ、息子の泣いている原因は明らかに私の存在だと確信していた。

 何度も担任と面談したうえで、私は発表会が開催されるホールには入らなかった。

 そして、ホール奥にある廊下(誰も通らない)の小窓から発表会を覗き見ることに。


 結果はなんと成功!!

 泣き叫ぶことなく発表会を終えた。

 それに加え、歌も楽器も上手にできているではないか!!


 ここでも涙、涙、うれし涙。

 ただ、やはり私の存在がいけないのだと思い知らされた。

 確信はしていたが、やはりショック。


 (3歳クラスの終わりらへんで療育開始)




《4歳/年中》

●運動会

 建物内2Fから隠れて校庭を見て、成功。


●参観日(中止)


●発表会

 3歳クラスの時とは違ってホール内に入ったが、後ろの方で観覧して、成功。

 怖くて顔を出せなかったので、息子のことは一切見えなかったが、成功したので良いのだ。




《5歳/年長》

●運動会

 息子の担任が本当に素晴らしい方で、私にとっては3歳・5歳の担任がどちらも大好き。

 息子についてよく考えてくれて、息子への声かけをすごく頑張ってくれてたと思う。

 担任と何度も面談して、隠れて観覧したいと申し出たが、「隠れないで大丈夫」と堂々と言った。

 もちろん信じ難かったが、隠れ場所を提供されない限りは校庭にいるしかない。

 しかし担任はもっと高度なことを言ってきた。

 「息子君に、どの辺りで見てるかしっかり説明して来て下さいね。」

 ・・・What!?

 流石に驚いたが、運動会前日 息子のカバンの中には先生からの手紙が入っており、念押しするかのように同じことが書かれていた。

 そして、担任としては園最後の運動会、堂々と見て欲しいと。


 再び過去のトラウマがフラッシュバックしたが、

 担任の声かけがあってか息子からも「ママがどこで見てるか聞いて来るようにって言われた。僕泣かないから。」と。


 観念して、言ったよ。

 もう息子の立ち位置の目の前で観覧することにしたよ。


 ただただ、本番時間が近付くにつれて恐怖心は増す。


 結果は、、、大成功!!!


 息子は私の目の前で成功させたのだ!!


 とても格好良かった。


 動画を取る手が震えだして涙が止まらなかった。


 運動会が終わったあとも、今まで息子と関わったことのある先生が次々と声をかけてくれる。

 「すごかったね!」と。

 3歳クラスの時の担任も、練習の時から見守ってくれていたらしい。

 本番の成功を一緒に喜んでくれた。


 そして担任も、運動会が終わると涙しながら息子をギュッと強く抱きしめてくれた。


 私と担任は一緒になって大号泣。


 保護者の私を安心させるため自信満々に「大丈夫です!」と言ってくれていたが、きっと担任が一番不安だったのだろうと思う。


●参観日(中止)


●発表会

 運動会に引き続き、私たち親子は

 他の子たちと同じように

 他の保護者と同じように、発表会に参加できた。

 担任は再び喜んで涙を流してくれていた。



運動会や発表会のあと、保護者が子供に「良かったよー!」と声をかける姿を見てうらやましかった。


私も笑顔で「良かったよー!」と言って抱き合いたい。


行事が地獄のように思えていたあの頃、本当に終わりが見えなくて辛かった。


先生たちにどれだけ救われたか。


先生たちが頑張ってくれなかったら、息子の成功は無かったと断言できる。



そして私が一つ母親へと成長できたのは、叫び泣きを続ける息子に対して

「どうして出来ないの?」から「緊張したよね?仕方ないよ。」と声をかけれるようになったこと。


後者の声かけをした途端、叫び泣きをしている息子は落ち着いたのです。


担任もかなり気を付けて下さってましたが、

声かけの仕方がどれだけ大切かがよく分かった。




息子が泣かずに参加できるようになると、私にも余裕が出来てくるので

他に泣いている子がいたらやっぱり気になっちゃいます。


息子が5歳クラスの時に、3歳クラスの発表を見ていると

なかなか泣き止まない子がいて(それでも叫び泣きではなく、普通にシクシク泣いているだけ)

私の前に座っていた保護者が笑いながら「ヤベーな。」と呟いていたのだ。


正直信じられなかった。


私からすると、「ヤベーな。」と言ったあなたの方がヤベーです。


息子の時にもそういう保護者はいたのかもしれない。


でも私は、息子が最初全然できなかったからこそ、成功した時の感動が100倍あった。


保育園って、学び、成長していく場だからそれでいいんじゃないのかな?


子供たちは親が思う以上に頑張っている。


だから、ほんの1ミリ成長しただけでも褒めてあげたい。


と、私は思う。

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