第6話 人格②

~異世界メジューワ、リデニア国首都クヨトウ~

~南の樹海~


「にするのよ・・・・・へ!?」

ナトスとミノアがオランアームレッドを屠った

樹海の奥に三人の姿が音もなく現れ、

ソロルの間抜けな声が響いた。

「着いたよ、お姉」

「どういう事・・・一瞬で視界が切り替わった感じ・・・」

状況が飲めずに唖然としているソロルに

ナトスが声をかける。

「ソロちゃん、後ろを見て」

未だ茫然としながらも、ナトスに言われるが

ままソロルが振り返ると、そこにはあの

オランアームレッドの亡骸が転がっていた。

「・・・っ!!・・あ・・・わ・・・」

ソロルは驚きのあまりアワアワしながらも、

魔獣を目の前にした冒険者の特性か、

無意識に“鑑定”を発動していた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

種族:猿魔獣オランアームレッド  個体番:13

レベル:166 lv     状態:死

HP□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

MP□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「(・・・ナンバー13、間違いなくあの時の魔獣・・・)本当に倒してたんだ」

ソロルは自身に死の覚悟をさせた相手の亡骸を前に

一瞬面食らったが、不思議と二人が魔獣を

倒したことについては受け入れられていた。

そして今起きたことを推察していた。

「そしてさっきの“転移技能”でクヨトウに飛んだのね」

ナトスとミノアが「おお~」声を上げながら

パチパチパチと拍手を送り、ソロルの発言を肯定していると、

口角を少し上げながらソロルが拍手を遮りつつ言い放つ。

「つまりナトスの言った“命からがら”と言う表現は嘘だった、ってことね」

ナトスをギャフンと言わせたいソロルは、

ナトスの発言から“嘘”を指摘し、

狼狽えるさまを拝もうと、

意気揚々に言い放った。

「おぉ、ソロちゃんにしては良い返しだが、残念ながら嘘ではない、誇張した事は認めるが」

しかし平然としているナトスの反応に、

余計に腹が立っていった。

「(くぅ~ムカつく!落ち着き払ってる、もっと狼狽えるとおもったのに)・・へ、へぇ~じゃぁどんな命の危機があったのかなぁ・・」

実際能力を行使飛んだのは自分だからと、

ミノアも説明に参加する。

「お姉の言うこの“転移技能”を僕らは“瞬間移動”って呼んでるんだけど、実際その場に行ったことが無い場所へ飛ぶ場合、そこの状況を前もって知る事が出来ないんだ」

ナトスも補足に参加する。

「ここへは当然来たことがある為、能力を発動する前にここに何も無い事、安全であることを察知できたが、初めて行ったあの街まではそうではなかった」

そしてミノアが核心を話し出す。

「現に一歩間違えれば死んでいたかもしれない状況が一回あったよ、ここから最初に飛んだ樹海の入り口で、木々のせいでそこに人がいる事に気づけなかったんだ、飛んだ時数メートル前に走ってく人が居たんだけど、もし仮にその人たちがいる場所に瞬間移動したらどうなってたと思う?」

ソロルは脳内で、自分の居る場所に自分が現れ、

二人の自分がバラバラになる様を思い浮かべた。

「え?・・・なんかグロテスクな事になりそうなイメージが・・・」

ナトスとミノアが「おお~」声を上げながら

パチパチパチと拍手を送り、

ソロルの発言を肯定していると、

拍手を遮るのも諦めたソロルは

「はぁ~」っと大きなため息をついた。

「(そのうちこいつらをギャフンと言わせてやる、特にナトス!)・・・はいはい、じゃーさっさと回収して協会に行くわよ、“空間魔法・収納”!」

ソロルが技能を使用した瞬間3mは優に超えていた

魔獣の亡骸が消え去った。

ナトスとミノアにとっては衝撃的な光景だった。

ナトス/ミノア「!!?」

「な、なんだこれは?」

「大猿が消えた・・・」

「は?・・空間魔法知らないの?今はもう私が持ち歩いてるわよ」

二人の反応に違和感を覚えたソロルが補足をしたが、

ミノアの頭には見えない大猿を担いでるソロルが想像された

「え?まじ!?お姉すごくない?」

「“転移技能”なみの能力が使えるあんた達に言われても嫌味にしか聞こえないわ」

「いや、謙遜するなソロちゃん、これはすごい能力だよ!っは・・ちなみにもっと持てるか?」

何かを察知したナトスの反応にミノアが

戦闘態勢を取った。

「へ?今ぐらいのなら後3体は行けるけど・・まだあるの!?」

「今から増える」

そう言うとナトスは背中の刀を抜き前に出た。

ガギーン!

その瞬間、何処からともなく現れた

別のオランアームレッドの鉤爪を受け止めていた。

ボン!と轟音が響き辺りを衝撃波が走る中、

自身の最高の奇襲技能で仲間の仇を取ろうとした猿魔獣が

「キェ・・」っと威嚇の咆哮をあげようとした。

しかしその刹那、ミノアにより首が

シュパン!と両断され頭部が地面に落ちた。

ソロルは魔獣を視認した瞬間から“鑑定”を発動していたが

認識できたのは死亡後の情報だった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

種族:猿魔獣オランアームレッド  個体番:5

レベル:211 lv     状態:死

HP□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

MP□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「・・・な、なんで」

衝撃波で尻もちをついていたソロルの疑問に

ナトスが答える。

「おそらく気配を消し、仲間の仇が来るのを待っていたのだろう」

「いや、そこじゃなくて、なんで気付けたの?今の“音切り”だった、気配も音もなく攻撃してくる、高知能・高レベルの魔獣が使用する奇襲技能・・ここは視界の悪い樹海だけど比較的安全でそんなの普通に警戒しない、狙われたらSSSの冒険者ですら絶対反応できない、少なからず手傷を負っている状況だった・・・どういうこと?・・」

ナトスは物心ついた頃から、息をするように

“この手の事”を察知出来ていた為、

時折そこに疑問を持たれる可能性を

忘れる事も確かにあったが、今回はそうではない。

しかし、まさかソロルが襲撃された事より、

それを気付けた事に視点が向いているとは

思いもよらなかったのだ。

「・・シェンター殿が言ったように、単純にそれらより強い“だけ”の話だよ」

ナトスは明確な説明を避けた。

したところで理解が及ばない事を知っているからだ。

返答を濁した以上ソロルは納得しない、

しかし事実として受け入れる事が

精神的に楽な気がしてならない。

「あなた達一体何のな?ミノアも異常よ、事前に“そこに来る”と察していないとあんな反応で攻撃できない!私が視認した時はすでに死んでた!ましてや211Lvの魔獣なんて人間に一撃で倒せるものじゃないのに・・・」

「お姉は、戦闘における分析力が高いんだね♪確かに、さっきの攻撃は僕には感知できる気がしない、攻撃音が後から衝撃波と共にやってきたからね、気配・殺気を完全に断った敵が襲ってきたら僕は被弾するよ、でも今回はお姉が言ったように事前に察知できた、約5秒前にね、正確には5秒前に攻撃を察知した兄さんの動きに合わせたんだ、この状況なら攻撃を躱さず受け止めると思ったしね」

ミノアはソロルの心境を理解していた。

目の前で起きたことを事実として認識する事が

心を楽にする為に必要な事だと知っているからだ。

“なぜ?”なのかはどうでもいい事と言わんばかりに

ミノアが全てを肯定する事で、ソロルは理解していく、

自身の理解が及ばないほど異次元の強さを持っていると。

「・・・200Lvを超えた魔獣を一撃で倒せるほど強いのは、おじいちゃんが言った通りのようね、わかったわ、確かに今見た、ナトスが“索敵に”特化した何かしらの技能を持っていて、軽々と攻撃を受け止めるほどの肉体強度である事も事実・・・」

「(“索敵”ではないがな)」

「・・あなた達は簡単に死なない・・・」

ソロルが呟くようにそう言うと不思議と涙がこぼれていた。

「ね、僕と兄さんは簡単に死なない、安心して」

ミノアはあえて“あの時”と同じフレーズでソロルに語り掛けた、

ソロルに“念話”を使用した時からその言葉の真実を

“納得”してもらう必要があったからだ。

そしてミノアの目的を理解していたナトスが、

成功したことを“念話”話しかけた。

『安堵の涙、ソロちゃんらしいな』

『あら、やっぱりあの時気づいてた?』

『さすがにあれだけの感情の高ぶりが一瞬で鎮まるのは無いよ、シェンター殿も困惑しただろう』

『ごめん、抵抗力の無い人間に“念話”を使うのを禁止したのは僕なのに』

『いや、俺もあの時“念話”しかないと思ったからな・・・制御に自信が無いから躊躇したに過ぎない』

『制御より、言葉のチョイスが重要だと思ってる、多分兄さんの方が適任だったよ』

「あぁーなんか頭がスッキリしたー!何なの二人とも押し黙っちゃって」

二人が“念話”で会話をしていると、

晴れやかな表情のソロルが声をかけて来た。

「周囲の警戒に集中してただけだよ、もう大丈夫そう」

ミノアがその問いに答えていると

「そっか、“空間魔法・収納”!ねぇ、お腹すかない?」

ソロルは新たに倒した4mは優に超えるオランアームレッドに

手をかざしながら満面の笑みで二人に問いかけた。

ナトスとミノアは不思議そうに顔を見合わせた後、

大きくうなずき返した。

「よし!じゃぁ換金の前に朝ごはんにしますか♪昨日の夜も食べてないし私は腹ペコ」

「あぁ!」

「やったー♪」

「ふふっ♪何なの二人とも子供みたいにはしゃいで、あっ!でも、あなた達は昨日の夜ご飯いっっっっぱい食べてるから少しは自粛しなさいよ!食べ過ぎは良くないんだから」

食事と聞いてはしゃぐ二人に

ソロルの声は届いていない様だった。

「ミノア覚えてるか、あのヤバウマだった、うどん麺のカルボナーラみたいな料理♪」

「覚えてる!あれ二人前で“我慢”したけど10人前は行けるぐらい美味しかった♪」

「お前の頼んだエビチリみたいなのもうまかったな♪」

「あれ他にも4種類ぐらいソースあるみたいだったよね♪」

「なくなく2種類で“我慢”したが全6種類食べて見たかったな♪」

その後も二人は「アレも美味しかった“我慢”したけど」

「コレも美味しかった“我慢”したけど」と話し

それを見てソロルは大きなため息を付いた。

「はぁ・・・(すでに自粛してました、食べ過ぎないように注意してますって主張ね・・覚悟はしてたけど、食費がヤバイ事になるわね・・)か、稼がなきゃ・・・」


{この時ソロルの中に二人に対するある感情が芽生え始めていたが、

この感情が“正しい”ものであった事を知るのは、数年先の物語である}


~異世界メジューワ、リデニア国首都クヨトウ~

~ノウビシウム家~


ナトス達三人が“瞬間移動”して程なくした頃、

ノウビシウム家の廊下を

オフィームに連れられ歩くユナの姿があった。

「(・・キツ、立ってるのもやっとだ・・・)」

ギルド出てすぐ借りた馬で何とかここまで来れたけど、

自分の足で歩くのが辛すぎるんだよね・・・

オフィームさんも歩くの遅い私に合わせてくれてるっぽいし、

苛々させてるかも。

「・・ごめんなさい、歩くのが遅くて」

私が声をかけるとオフィームさんは立ち止まり

優しく声をかけてくれた。

「大丈夫ですよ、それに今着きました」

そう言うとオフィームさんは目の前の扉を

ノックし声をかけた。

コンコンコンコン!

「お連れしました」

「うむ、入れ」

ソロルのおじいちゃん。

正直厳格で怖いイメージがあるんだよね・・

罵倒されるかもしれないけど

誠心誠意謝罪しなくちゃいけない。

そう思いながらおじいちゃんの顔見たら、

自然と身体が動いて土下座の体制になってたんだよね。

「申し訳ありません!お孫さんを・・ソロルをパーティー任務中に危険にさらしてしまい、現在も所在が分からないままです!」

「・・・オフィーム」

「はい」

ソロルのおじいちゃんがオフィームさんに声を

かけると何処かへ行ってしまった。

そのままソロルのおじいちゃんはソファーに座った。

「そのままでええ、もっと詳しく話してくれんかのぉ?」

正直立ってるより楽だと感じてたから

後ろめたい気持ちにはなったけど、

事の発端から今までの事、

怒りを買って罵倒される事を覚悟し全部話したよ。

いや全部ではないかな・・・

あまりにも主観的な話でこの場に居ない人間が

謂れのない疑いを持たれるのは好きくないから

あえて言わなかったこともある・・・

アキトの事だけどね。・・・って、私は誰に語り掛けてんだ?

コンコン!

「お持ちしました。」

「うむ、ちょうどよかったのぉ、ユナよ、このままだと話がしづらい、わしの前に腰かけ茶でも飲みながら質問に答えてくれんかのぉ?」

オフィームはシェンターの目の前と誰も座っていない

ソファーの前にお茶を置き、ユナに手を差し伸べた。

「・・へ?・・・あ、はい」

ユナは促されるままお茶の置いてある席に座ったが、

想定していた対応との違いに状況を飲み込めず

キョトンとしたままだった。

「さて、先ほど言ったが、聞きたい事がある、質問に答えてもらえるかのぉ?」

「(はっ!誠心誠意対応しなくては!)はい。」

「パーティーリーダーはトラフォールのガキじゃと思っとったが?」

「(え?)は、はい。アキト・トラフォールです。」

「この手の報告はリーダーがするのが筋じゃと思うが・・死んだかのぉ?」

「(ヤバイ!いきなり隠してた部分に突っ込みが入ってる・・・隠してたって思われたら怒られちゃうよ・・・でも、ちゃんと話さなきゃ・・)・・い、生きております。もう一人のパーティーメンバーのミュウへ付き添う形で、黒岩野営地にて休息中です。私が一番肉体強度の数値が高く、ギルド・家族への報告の為、単身先行してまいりました。(ホントはあいつといる事に嫌気が差したことも大きいけどね・・・)」

「(ふぉっふぉっ、こやつも感情を隠し切れんタイプじゃのぉ、ソロルと馬が合うじゃろ)失礼じゃが、おぬしに“鑑定”を使っても?」

「(なっ!!う・・嘘・・・で、でも誠意はみせなきゃだよね、ど、どんな辱めでも私は受ける!覚悟を決めろ私!!)ど、どうぞ!!」

「(なんじゃ、こやつといいソロルといい、鑑定とは赤面するほど恥ずかしい物なのかのぉ、意味が解らんぞ・・“鑑定”・・・?自身も鑑定を持っとるではないか、何を見られてるのか解りそうなものじゃて・・これがジェネレーションギャップと言うやつかのぉ・・)」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

氏名:ユナ  職業:斥候(冒険者)

レベル:67 lv  年齢:21 歳  状態:普通

HP■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□

MP■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


技能:「短剣術」「反響索敵」

「鑑定」「駿足」


肉体強度:111 Rp   精神強度:103 Rp

  命力:333      気力:309

  体力:230      魔力:232

  速力:185      知力:253

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「(バランスの取れた良いステータスじゃな・・)おぬしの言う通り肉体強度の値も同ランク帯の平均を上回るものじゃと思うが、男性であり前線で戦うトラフォールのガキより実質高くなるとは考えにくいのじゃが?」

「・・あいつは・・アキトはあまりトレーニングとかしないタイプで、先ほどの報告にもあった通り、隊列順も三番目で最前線で戦うタイプでもなかったです。あいつは、外面が良く周囲からは信頼の有る冒険者の様ですが、正直総合的な強さも平均以下で、私が適任だったと思います。」

「ふぉっふぉっ、おぬしの報告と言い、先ほどのソロルからの報告と言い、もっとはっきりと“黒”なら“黒”と言えばええのにのぉ」

「え?(先ほど?ソロル?)」

「まぁ当事者のソロルと第三者のおぬしとでは見え方が違うのは仕方ないとしても、主観でも良い、“信用できない”とはっきり言っても良かったかのぉ」

「ちょ、ま、待ってくださいおじいさん、さっきソロルがどうとかって・・・」

「ふむ、おぬしには悪かったと思ったが、あえて伏せさせてもらっとった、ソロルは無事じゃ、おぬしの来る直前までここに居って、同じような報告をしていったぞ」

「(ソロル・・)」

「南支部のベネー様からもソロル様の安否確認があった為ご無事であることをお伝えしております。救助隊も編成される事は有りません。ご安心ください。」

オフィームの補足を聞きながらユナの緊張は

急速に溶けていった。

「(なんだよ・・・知らなかったの私だけか・・でも、本当に良かった!さすがだよソロル!無事でよかっ・・・)・・・」

「・・・はて?」

「・・気を失うように眠っておられます。」

「ふむ、一番聞きたい事が聞けなんだな・・・」

なんとまぁ可愛らしい安堵の表情じゃて。

そうじゃそうじゃ、

変な誤解を生んどるかもしれんからのぉ?

はっきり言っとくが、あの時ユナに土下座の姿勢を

強要したわけじゃないぞ。

まぁ気付ける者は気付いとるとは思うがのぉ。

明らかに立っとるのがやっとのユナには

あの姿勢が楽じゃったろて。

さすがにあの状態でここへ駆けつける姿勢は、

責任感が強く義理堅き人間と判断するに十分じゃった。

主観から変に他者へ悪いイメージを持たせるのを

避けようとする姿勢も悪くない。

まぁ私怨の様な感情を隠し切れんのは、

精進が足りかのぉ。

・・しかし、アキト・トラフォール・・・

“お灸をすえる”程度じゃすまん可能性が高まったのぉ。

パーティー内のメンバーである、このユナから

これだけ不信感を持たれ取るとなると・・・

“粛清”も視野に入れんと行かんのぉ?

・・・ってわしゃ一体誰に話しかけとるんじゃ?

「・・・な様!」

「旦那様!!」

「ん?・・あぁ、すまんすまん」

「・・・お疲れでございますか?」

「・・ふむ、朝から来客が多かったのぉ、ちと疲れたが、それ以上に・・・まぁ予定通り学院へは行くぞ」

「承知しました。準備は出来てる頃合いです。」

シェンターはユナに視線を落とし話しを続ける。

「それとユナだが、半日は目覚めんじゃろ、ソロルの大事な友人じゃて客間でゆっくり寝かせる様に、目覚めたころに風呂にも入れるよう計らへとリジディにもしっかり引継でおくように」

「はい。大事な客人として対応いたします。」

そう言うとオフィームはユナを大事に抱え、

退室していった。

「(わしも準備をしようかのぉ・・・はてさて、アキトの件も捨て置けんが、それ以上に異質すぎる存在ナトスとミノアが気になるのぉ・・・)良からぬことが起きる前触れでなければ良いがのぉ・・・」

シェンターはそうつぶやくと、応接室を後にした。

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