段落とは?(1)
段落分けとは厄介極まりない要素だ。
とくにネット小説だと、段落分けは重要な問題になる。
文章の読みやすさに直結するからだ。
しかし、段落の要点とは何だろう?
ネットで段落のことを調べてみると「大きな意味の切れ目」「話題の変わり目」とある。あまりにも抽象的で「、」と同じく、段落も掴みどころがない。
なのでできるだけ短く、具体的に説明しよう。
「段落は文章を読みやすくするためにある」実はこれだけだ。
そもそも段落は日本語に存在せず、明治期に導入された。段落が日本語の文書に現れるのは、明治6年に編纂された算数の教科書からだそうだ。
それまで例えば江戸時代の文書は「、」「。」改行と段落が存在しなかった。
おい待ってくれ、古文の段落を見たことがあるぞという方もいるだろう。
しかしそれは編集者が読みやすくするために後から段落をつけたものだ。
そう、本当に段落は「読みやすく」する為に存在する。
これが段落の用法であり存在意義だ。
段落を分ける目安を箇条書きしてみよう。
ちなみにこれは目安であり、明確な規則ではない。その理由は後述する。
① 話題が変わった時。
② 視点が変わった時。
③ 文章が長大になった時。
ここで注意したいのは、段落とは本来、文章の大きさを見ていないということだ。意味や視点のほうが段落を切るのに値する重要な情報なのだ。
え、アンタのこの文章自体、メチャクチャ段落で切りまくってるじゃないか。そのように思う方もいるだろう。しかしこれは矛盾していない。段落には意味段落と形式段落がある。
形式段落とは、一文字下げる、あるいは空白行を入れる段落。
意味段落とは、形式段落の中で、同じ内容を一つにまとめた段落になる。
意味段落は形式段落がまとまったものなので、明示的にするには2行開ける、あるいは記号で切るなどの対処をする。小説の中で※※※※あるいは★★★こういうのをたまに見たことがあるだろう。これは話題や視点が大きく変わるのを意味している。シーンの切り替わりといってもいい。
三人称視点が一人称視点に切り替わる時、一人称視点で書き続けて、視点が別の人物に変わるときなどは、こういった記号を使い「切れ目」を入れているわけだ。
これも広義の段落だ。
何だそりゃ? と思うだろう。
だが、実は段落の分け方は文章を表示する媒体・メディアによって異なる。
つまり。段落にはこれという決まった形式や目安がない。
雑誌や本、新聞などの紙媒体では、あたらしい段落に移る時に一時下げを行う。そして、意味段落に空白行を使う。紙書籍は大体このルールだ。
日本の文章のルールは数的優位を誇っている紙媒体を基準とするならそういったルールを適用するのが基本となるだろう。現にお硬い新聞社が運営するようなサイトでは、そういったルールになっている。
しかし、ゲーム系テキストではこれが大きく変わる。
一時下げをしないし、……を…にするし、改行もこまめだ。これは会話ウインドウの大きさなどの仕様や、会話テキストにIDを振り、exelのシートでの管理を必要とするゲームエンジン側に原因がある。(文章が主体となるADVでは、内製の専用エンジンを使うこともしばしばある)
SNSやブログはどうだろう? 極端な話、LINEの会話は?
一時下げをしていない文章が普通だし、基本「、」は使わない。「。」の代わりに改行を使うのが普通だ。スタンプで意味を補完することさえある。
小説家になろうやカクヨムの場合はどうだろう?
基本は紙媒体のルールに従っているが、空白行を多く使うのが支配的に見える。
これはWEB媒体で、小説のような長大な文章を読む場合(PCで読むならまだいいのだがスマホで読む場合だ)ミッチリとした文章はとても見づらいため、より細かい段落で刻む必要があるからだろう。
以上のように、段落はメディアによって「差異」があるのが明らかとなった。
では結局、どうしたら良いのだろう?
★★★
そういう時は、形式にこだわらず、目的を見よう。
段落分けする目的は「読みやすくするため」だ。
なので段落について校正する際、文章に以下のような問いかけをする。
① その段落は「意味の変わり目」にあるか?
② 段落ひとつで、内容は一つになっているか?
③ 頭に見出し文、結論が頭にきているか?
たったこの3つの問いかけを文章にするだけで、格段に読みやすくなるはずだ。
拙作「死人たちのアガルタ」から文章を抜き出し、段落を消してみた。
これに段落をつけるということを、実際にやってみよう。
・例
❌
ゴルフ場とは? 僕は自分の持つ端末に尋ねてみた。
『回答:社会的地位の高い人物が、「ゴルフ」という球技を行う施設。政治的、商業的な利害関係者同士で、流血を伴わない戦闘を行う場となっていた』
なるほど、ゴルフ場とはどうやら闘技場の一種だったらしい。球技と言うのは
★★★
✅
ゴルフ場とは? 僕は自分の持つ端末に尋ねてみた。
『回答:社会的地位の高い人物が、「ゴルフ」という球技を行う施設。政治的、商業的な利害関係者同士で、流血を伴わない戦闘を行う場となっていた』
なるほど、ゴルフ場とはどうやら闘技場の一種だったらしい。
球技と言うのは
先ほどウララが見つけた、ゴルフに使うと思しき金属製の道具は、刃付けがされていない。この道具は、鈍器、棍棒の類としてみるのが妥当だろう。
この道具は流血を伴わないと言った端末の情報を裏付けている。ゴルフ場は細長い形をしているし、球技という事は、恐らく互いに狙撃、先に弾を当てて弱らせた相手を、この道具で撲殺した方が勝利と言った所だろう。
★★★
こんな具合だろうか? 傍点がついているのが見出し文、あるいは結論となる。
これだけみても、段落の「読みやすくする」ことの威力がわかるだろう。
この文章って何が言いたいんだ?
段落分けをするにあたって、その疑問ひとつ持つだけでも、文章はずっと読みやすくなるし、書く時のガイドになる。段落は意外と重要な役目を持っているのだ。
次はより詳細に、段落の流れや組み立て方について語ろうと思う。
この文章がなにかの役に立てば幸いだ。
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