ヒトは愛を求める...

「ご主人様?

ご主人様!」


ご主人様が倒れられたあと、私は医者を呼んだ。


ご主人様の病状を何度訪ねても医者はただ、静かに下を向いている。


わからない。

わからない

わからない...


でも、分かる。

ご主人様がマニュアルに書いてくださったこと。

仰ってくれたこと。

その言葉の意味が今ならわかる。


愛...


私はご主人様を愛してる...


ヒト...


私はAI...

だけれど、ヒト。


ヒトとは、感情を持った者のことだとご主人様のマニュアルに書いてあった。


そう、私はヒト...


きっと今私が抱いているこの気持ちが愛...


何にも変え難いもの。


熱い...時に、燃えるように熱く...

冷たい...時に氷よりも冷たく...

嬉しい...時に、何にも変え難い喜びを与え...

悲しみ...時に、耐え難い苦しみを与える...


愛するが故に安心し、愛するが故に不安になる...


それが愛...


そう、マリー《ヒト》はご主人様あいを求める...

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