マリー

「っ!申し訳ございません。ご主人様。」


いつの間にか私の後ろに立っていたご主人様に深深と頭を下げる。


「いいんだ、マリー。

それより、何をしていたのだ。」


「はい。

申し訳ございません。ご主人様。

お部屋のお掃除をしていたのですが、こちらの本が気になってしまい...」


「読んだのか。」


「はい...

申し訳ございません。ご主人様。」


私はご主人様に向かって謝る。


ご主人様はやや不服そうにこちらを見つめる。


「それで。

本を読んでなにか学んだのか。」


「はい。

沢山学びました。

ですが、分からないことがあるのです。」


「何だ。言ってみなさい。」


「はい。

人はどうして人を求めるのですか?

私にはその気持ちが理解できないのです。」


「人は見な孤独なのだ。

孤独ゆえ、人を求める。

そこに愛が芽ばえる。」


「愛?愛とは何なのですか?」


私がそう聞いたのと同時にご主人様は咳き込んで倒れてしまう。


私のご主人様は病を患っている。

だからこうして必要なことを私のために本に書いて残してくださっている。

私はAI。

ご主人様の作った創作物。

この本は私のためのマニュアル。

だけど、この本は少し難しい。


ご主人様の作った完璧なプログロムを組み込まれている私。

だけれど、この本に書いてあることの意味がわからない。

ご主人様の仰った言葉が分からない...

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