番外編:20XX年、テレビ番組


綺麗な青空が続く本日は祝日、を皆様はどうお過ごしでしょうか。


本日は今から八年前に起こった日本中を巻き込んだ大事件『魔法少女事件』について放送していこうと思います。


やっと日本は海外との情報交換や各県の復興も進み、こうしてテレビでの映像をお届けしている訳ですが、私も本当に大変な二年間であったと覚えています。


本当に、彼女に対しては感謝しかありません。彼女のお陰で、こうして平和な日常が戻ってきた訳ですから。


まず注意ですが、この番組は当時の映像や写真等を編集せず流させていただきますので、心臓が弱い方やPTSDをお持ちの方はチャンネルを変えることをオススメいたします。


さて、全ての始まりは八年前、謎の人物シンによって様々な県のテレビに突如として電波ジャックされた所から始まります。


此方は当時に東京にてビルに設置された巨大モニターで放送された当時の映像を撮影したものです。


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ガヤガヤと人の話し声が聞こえるなかでビルのモニターに写し出された謎の男の演説が聴こえる。


『この映像を見ている諸君、ごきげんよう。私の名はシン。』


 真っ暗な画面に移り仮面を身につけた男は自身を【シン】と名乗り話を続ける。


『君たちは、この世界をどう思う?戦争が起き暴力に溢れ、親が子を殺し空腹に餓え死ぬ。裏金や闇取引、嘘や詐欺の蔓延るこの世界を!!変えたいか、ならばこの私が君たちに世界を作り変えるチャンスをやろう。』


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当時、大学生だったAさんは携帯でこの動画を撮影していてこの出来事を何らかのイベントなのかと考えたそうです。


Aさんはインタビューで「急にニュースが放送されていたモニターが切れ変わって変な男の人が写りだした時は、アニメの周年イベントとかなのかなって思ってたんです。魔法少女とか、願いとか話していて、きっと何かのアニメのイベントかなって……でもまさかあの話が本当になるだなんて思いもしませんでした。」と当時の心境を話していました。


そう、当時の政府や警察はこの演説や電波ジャックを問題視せず、深く追求することはありませんでした。ですが、これが後に日本中を巻き込んだ大事件へと発展するとは、当時はまだ誰も思っていなかったのです。


3日後、様々な県や町で確認されたどの生物とも違う特徴を持った未確認生物が現れ人を襲うと言う事件が発生。同時に何人もの少女と思われる遺体、そして老若男女の遺体が発見された。


発見された遺体は全て、普通では有り得ない殺され方や傷があり、原因不明の殺人事件として未確認生物の捜索と平行して捜査が行われたが、どちらも目立つ情報が獲られなかった。


奇跡的に防犯カメラに映った怪物を見て生物学に詳しい者達は様々な意見を主張したが結局は分からず、このニュースを見た人々は「本当に動物なのか?」「自然を壊し続けてきた人間に罰が下った」「宇宙人が侵略しに来た!」「妖怪の祟り」と様々な見解を話していました。


そんな時、1つの動画がネットに投稿され即座に拡散されていった。


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「───────ッ!」


「ッ!」


風が吹くような音と共に聞いたことの無い獣のような叫び声のような唸り声が聴こえる中、一人の少女………まだ成人すらしていない中学生ぐらいに見える少女が手にもった槍に青い炎を纏わせ未確認生物と戦うと言う動画。


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動画では、少女は銃刀法違反に引っ掛かる程の大きな槍を操り、非科学的な現象を起こし未確認生物と戦っていた。


シンと名乗った人物の動画から、ネットに投稿されたこの動画で未確認生物と戦闘していた少女は、シンの言う『魔法少女』と呼ばれる人物ではと考察する物が多く存在したが政府や学者達は非科学的だと相手をしなかった。


だが、ネットに投稿されたこの動画以外にも軍が入手した映像があった。


とある会社の防犯カメラに写っていた映像であり、一人の少女から大の大人がひたすら逃げるという物である。だが、映像を拡大してみると少女の両手には拳銃のような物が握られていることが分かります。


また、この映像では少女は残虐的な性格である事が分かり、男性をじわじわと痛め付け、最後には殺害している映像が残されていました。


また、この映像を入手した警察官達の一人がインタビューに応じてくれました。


『Q、この動画を初めて見たときどう思いましたか?』


「本当に、驚きましたね。防犯カメラから見つかったので当然加工や編集をされてないのは当たり前何ですけど、この映像が本当に現実で起こったのか、正直な話……信じられませんでした。だってこんなに小さな子供にって……」


『Q、当時は魔法少女に関する情報は全くありませんでしたけど、ネットに投稿されたあの映像はどうでしたか?』


「初めて同僚から見せられた時は、作り物かなって思ったんです。今の時代……編集したりしたら簡単にあのような動画を作れるじゃないですか」


警察や政府はこれらの動画に細工……CG技術や編集が加えられていないことが分かると即座にこの動画を投稿した人物の特定を開始しようとした時でした。


某施設に魔法少女だと思われる少女が現れ、その施設にいた人を虐殺すると言う事件が起こってしまったのです。


また某施設に駆け付けた自衛隊は魔法少女と交戦、逃走を許してしまう結果となったそうです。


その結果、世間や警察は魔法少女に対しての見解を改め、政府は対魔法少女対策組織を設立。他にも対魔法少女用の兵器の開発や研究が行われ、テレビやラジオでは魔法少女に対して、破壊行動や殺人を犯した少女へ自首を進め警察に出頭するよう報道しました。


自首をせず戦いを続行する魔法少女には武力行使や殺害が許可されましたが、魔法少女の存在は消えることはありませんでした。 


そんな時でした。


ネットには誰が撮影したのか、人を殺そうとする魔法少女を止め、ビーストから人を守るため戦う魔法少女達の戦闘が投稿されました。


軍はこの動画の内容に対しては、長い時間会議を続けました。


これは本当なのか、そもそも魔法少女が魔法で作った映像では無いのか?魔法少女による罠ではないか?彼女達は味方なのか、と。


そんな時でした、動画に映っていた魔法少女達は軍事施設を訪問し、政府や警察との協力を願い出たのです。


当時、軍を直接訪問した魔法少女は5人程しか居なかったそうですが。まだ成人していない彼女達の願い出に、軍や政府は最初こそ決断を渋ったものの、少女達の覚悟に答え政府や警察、自衛隊は協力を承諾したらしいです。


当時、魔法少女が訪問してきた軍事施設に所属していたと言う軍人Kさんが、インタビューに応じてくれました。


『Q、初めて魔法少女達をみたときに感じたことは?』


「本当に、普通にの………何処にでもいる学校に通っているような少女達だと感じました。礼儀正しい子や個性的な子もいて。職場見学のように思いました」


『Q、魔法少女と協力の願い出に感じたことは?』


「正直、自分が情けないと思いました。だって警察官や自衛隊が守らなければならない人々を私たちが守ることがかなわず、ましてや未成年の少女達に戦わせるだなんて」


今では1つの基地を任せられるまで昇格したKさんは悔しそうにそう語っていました。


さて、そんな魔法少女達が軍に所属していたのを他所に政府からの命を受けた研究所は謎の男、シンの動画から獲られた情報を纏めていました。


その時に研究所で獲られた情報は


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・人を襲う謎の未確認生物=ビーストと呼ばれる存在である。


・シンから送られてきた結晶触媒カタリストに祈る事で少女は魔法少女に変身できる。


・魔法少女は魔力を高めると自身の望む世界を創造できる


・魔法少女が魔力を高める方法は3つある。

一つ目:魔物、ビーストと呼ばれる化け物を殺す事で魔物の魔力を吸収する事。

二つ目:魔法少女を殺す事で魔力を吸収する事。

三つ目:魔力を宿した人を殺す事で魔力を吸収する。

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であり、未確認生物であるビーストに関しての情報は得られなかった。


政府はビーストの情報を集めるため魔法少女と自衛隊に対し、町に現れた未確認生物ビーストとの戦闘を行いその戦闘を映像で記録する事を指示したそうです。


その戦いで獲られたのは軍の所持する兵器ではビーストは魔法少女、そして魔法少女の持つ武器でなければダメージどころか傷すらも与える事は叶わず、殺すことは不可能と言う物でした。


この新たに発覚したビーストの特性から、魔法少女と政府の協力により人類の叡知と魔法と呼ばれる現象を研究した結果、人類は魔力を擬似的に産み出すことに成功。


これを魔導力と名付けました。


また、軍と研究所はこの魔導力を組み込んだ対魔法少女兼ビースト用決戦兵器を製作しました。また、それら兵器は魔導兵器と命名されその後の戦いに大きく戦果を残したそうです。


また、この頃から彼女は魔法少女として軍で活躍している事となります。


当時の彼女について、実際に軍に所属していたと言う魔法少女Oさんがインタビューに答えてくれました。


『Q、当時の彼女とは接点がありましたか?』


「あの子は、私の友人の魔法少女が良く面倒を見てたんです。寮が同室だったって事もあるんでしょうけど、私はその……妹みたいな感じで接していました。私は所謂、裏方というか……魔法が戦闘向きでは無かったので帰ってきたあの子や友人を出迎えてあげることぐらいしか出来ませんでしたから」


『Q、他の魔法少女と彼女は何か違うと思う事はありましたか?』


「いえ、本当に普通の女の子だったと思います。でも自分から何か主張したりはあまりしない子でしたね」


さて、この頃から前線に出て戦いに赴いていたそんな彼女が魔法少女として戦うなかで、二人の少女を保護した事があったといいます。


その二人は魔法少女であり、後に終焉の日ラグナロクと語られる日に大量発生したビースト相手に善戦する程の活躍を見せていました。


ですが、段々とビーストに押され始めて最後には残念ながら命を落としてしまったらしいです。


終焉の日ラグナロクでの戦闘の記録は残されておらず、何人の魔法少女が戦い、生き残ったのか。命を落としたのかが謎となっています。


そして、彼女によって終わりを迎えたこの二年間の戦いの殆どが小説や映画として製作されています。


代表的な名作としては『大空の彼方』や『希望の魔法少女』『希望の灯』等があげられています。


また、彼女の両親はインタビューを断っておりお話を聞くことは叶いませんでしたが、中学生であった彼女の学校の担任を任されていた先生にインタビューすることが出来ました。


『Q、彼女の学校での様子は?』


「物静か、ですかね。それにあまり人付き合いが得意では無いのか、授業で二人組を作る際はよく最後まで残っていました。」


『Q、彼女についてどう思っていますか?』


「あの子の親でもない私が言うのも変ですけど、私にとって彼女は誇りに思える生徒です。偉大なことを成し遂げたのですから。でも……もっと沢山の事を教えてあげたかったですね、先生として」


そう語った彼女の担任であった先生は悲しそうにインタビューを終えました。


あの二年から日本は元の姿を取り戻しつつあります、彼女が作ってくれたこの日々を佐久魔 空良さんはきっとあの世で見守っていてくれているでしょう。





20XX年、ドキュメンタリー番組

『いつかの空へ』より







『序章、たった一人のRESTART』Fin.


    Next Episode,Unlock.


『第1章、再び繋がるCONTACT』Start.

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