第8話 休憩室

「あっ...そうだ」

「どうしたんですか?」


「まだお昼まで時間あるし、前軽くしか紹介出来なかったから、今から休憩室まで行って、本とかテレビとか見る?」


静華さんは足を止め、振り返って奏汰の方を見て言った。


「ちょっと行ってみたいかもです」


「じゃあ行こっか!」

「お願いします!」



──とは言って、来たはいいものの......僕の隣でずっとニコニコしながら、僕の顔を見てくるこの看護師さんは誰だ?



5分前、休憩室



「あっ! 静華さーん!」

「はーい!」


「着いてそうそう悪いんだけど、ちょっと呼ばれちゃったから行ってくるね! 5分くらいで戻ってくるからー!」


「分かりました。本でも読んどきますね」

「ごめんねー! すぐ戻ってくるからー」


そう言って看護師さんの集まりの中に入っていった。


多分さっきのアレルギーの子の話かな?

おっ...この本面白そう。読んでみるか。


そんな事を思っていたら、本を開くと同時に、看護師さんから声をかけられた。


「ねえ」

「......あっ...はい......なんですか?」

「君、灰羽奏汰くんよね?」

「はい...そうです......」

「......」


......え、会話終了? 名前聞いただけ?

まっ...まあ気にせず、静華さんが戻ってくるまで大人しく本を読んでおこう。



で、今に至る。


ほんとにずっと見てくるんだけど、なんで?

早く静華さん戻って来ないかな?


......あっ! 戻ってきた!


「お待たせー!奏汰くん......って神崎さん?」

「あっ...北条さん」


「ありがとうございます! 見ててくれて」

「いえいえ! お気になさらず」


「あれ? 神崎さんが担当の子は...?」


そういえば話しかけて来た時からいない。

...あと、神崎って名前なんだ。


「あそこですよ」


神崎さんはそう言うと、窓際の席を見た。


「あの子だよ。窓際の席で本読んでる子」


僕も窓際の席を見たが、ここからじゃよく見えなかった。


「あー! るなちゃんね」

「るなちゃん?」


「そっか、奏汰くんはまだ来たばっかりだから知らないよね。

名前は宮咲るな。極度の人見知りで、でも頑張り屋さんだから無理に頑張っちゃって、結果精神病。で、入院してる子。結構看護師の中では有名よ」


「へぇーそうなんですね」


「朝言ったアレルギーの子があの子。奏汰くんと朝ご飯が入れ替わっちゃった子よ」


「あー! そうだったんですね」


「ちょっと話に行ってみる?」

「いや......大丈夫ですかね?」


「私がいれば多少は喋れるはずだから大丈夫よ」


「大丈夫......ですかね」

「とりあえず行ってみよー!」

「......分かりました」


僕が車椅子を動かそうとした時、静華さんが後ろに来た。


「私が動かしてあげるから手ー離してー!

......あっ! ダジャレじゃないよ?」


「ダジャレじゃないのは分かってますよ。

それに大丈夫ですよ、すぐそこですし」


「はい! じゃあまず1回目ね〜」

「......あっ!忘れてた!」

「じゃあるなちゃんとこ行こうねー!」


くっそ、完全に油断してた。ゲームには気をつけないと。



まずは神崎さん? だったっけ。......まあ、担当看護師さんが宮咲さんに話しかけにいった。


「るなちゃん、今何読んでるの?」

「......ミシェルシリーズ......魔導書庫......」


「そのミシェルシリーズって言うのは面白い?ずっと読んでるけど?」


「面白い......好き......」


「ところでちょっといいかな?」


「......ん......なに?」


「話したいって子がいるんだけど......大丈夫かな?」


「......キリ良いとこ......まで......よ......みたい」


「分かった、じゃあ待ってるね」

「うん......」



「じゃあちょっと待ってようか」

「はい」

「いくらでも待つよ! 話してみたいからね」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき。


どうもこんばんにちは。まどうふです。


新キャラが2人追加です!ゲームも続行中でございます!


良ければ応援とフォロー、☆のほど、よろしくお願いします!

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