95日目 七五三



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 11月の休日。神社は七五三でとても賑わっていた。


 綺麗な着物を来た子ども達が両親と一緒にお参りに来ている。


 ぺぺはそんな光景を見ながら小さな神様に尋ねた。


「小さな神様ー。なんでみんな七五三をするの?」

「昔は今と違って亡くなる子ども達が多かったからな。健康に育つようにという親の思いからだな」

「そうなんだ」

「まあ今は行事的な面が強いがな。現代の者は気付いておらぬが、昔のこういうしきたりは理にかなっておることなのだぞ。厄年もそうじゃ。だからやったほうがいいのじゃ」

「やるといいことがあるの?」

「んー」


 小さな神様は少し困った顔をする。


「良いことが起こるというよりも、運気が上がるというのだろうかのう。神様やわしらが、分かっている驚異を取ってあげたり軽減してあげたりできるとからな」

「そうなんだー。じゃあ祈祷してもらったほうがいいんだね」

「うむ。そうじゃ」


 そう言いながら小さな神様は子ども達を見ながら微笑んでいる。


「皆、大きく育ってほしいものじゃな」

「小さな神様みたいに小さいままだと大変だもんね」

「そうだな」


 そう言って小さな神様は今日は怒らない。いつもなら怒って追いかけてくるのにどうしたのかとぺぺは不思議に思い首を傾げる。


「小さな神様、今日は怒らないの?」

「ふん! 今日はめでたい日だからな。我慢しておるのじゃ」


 なんだ我慢しているのかとぺぺは笑うのだった。


 そしてぺぺは子ども達の周りを飛び回り祝福するのだった。

 そして言う。


「がんばって大きくなってね」と。



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