96日目 コマさんは年末は忙しい



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺが本殿に行くと、年末の大掃除が行われていた。


 神様達と言えば、仕事で忙しそうだ。


 みな忙しそうにしているため、ぺぺは一番暇そうなコマさん達の所へ行く。


「ぺぺ。わしらも暇ではないぞ」

「ええ。暇そうじゃん」

「失礼なやつだな。わしらとて忙しいのだ」


 コマさん達はそう言うが、いつもと変わらなく見える。


「いつもと変わらないけど」

「そんなことないぞ。まあぺぺには分からないだろうな」


 すると、参拝者がやって来てコマさんの前で写真を撮り始めた。コマさん達は澄ました顔をしてポーズを取っている。


 ぺぺが見ていると、いつもより写真を撮られる回数が多いように思える。


 コマさん達曰く、この時期はみんな年賀状用に写真を撮っていく者が多いのだそうだ。


 そこでぺぺはピンとくる。


「結局、写真のポーズを取るのに忙しいだけじゃん」

「失敬な。これもれっきとした仕事だぞ」


 そう言いながら、ポーズを取っているコマさん達なのだった。


「だからどんなにポーズとっても写真は変わらないんだってー」


 ぺぺが呆れた口調で言うが、コマさん達はあえて無視をするのだった。




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