99日目 熊手



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 年が明け、神社は初詣で賑わっていた。


 皆熊手や破魔矢など、正月の縁起物が並んでいる。


 ぺぺも縁起物を選んでいる人間を見て笑顔になる。


 この日だけは、皆これから始まる1年に期待と願いを膨らませてキラキラしているからだ。


 ふと見ると、縁起物に神様が神様の高波動を入れている。


 正月の熊手や破魔矢などには、元々特別な力があると言う。


 それに神様の波動を入れて、より良い物にするのだそうだ。


「僕も熊手ほしい」


 ぺぺは熊手を持ち上げたが、重くて落としてしまった。

 小さな神様が目を細めてボソっと呟く。


「落とすとは縁起が悪い…………」


 それを聞いたぺぺは「うー!」と落ち込む。


 すると神様がぺぺに微笑み慰めてくれた。


「ぺぺ、気にしなくていいのだよ。縁起が悪いと思うのではなく、ぺぺの厄を落としてもらったと思えばいいのだよ」

「神様ー!」


 やはり神様は優しいと嬉しく思っていると、神様は落とした熊手に、ばさっばさっと榊でお祓いをし、波動をここぞとばかりに入れていた。


 それを見たぺぺは、目を細めて思う。


「そんなに汚いのか…………」と。





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