88日目 蒲焼き再来
妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。
妖精なので、ほとんどの人間には見えない。
ぺぺが本殿へ行くと、小さな神様が忙しそうにしていた。
「小さな神様ー。何してるの?」
「ぺぺ、いいところにきた。手伝ってくれ」
そう言ってぺぺを手招きした。側まで行くと、そこにはたくさんの来年の干支の置物が置いてあった。
「ぺぺ、この榊でこの置物をパタパタしてくれ」
「なんで?」
「この榊には神様の御神気が入っておる。これで仰ぐとこの置物に御神気を入れることが出来るのじゃ。するとこの置物は縁起物になるのじゃ。ほれ。もうすぐ正月だからのう」
「そっかー。分かった! 僕に任せて」
ぺぺは榊をパタパタと仰ぎ始めた。それを見た小さな神様が目を細める。
「ぺぺ。その仰ぎ方は駄目だと言ったであろう! ウナギの蒲焼きじゃないのじゃ! ちゃんとやりなさい!」
「え? だめなの? ぶー」
そう言いながらも結局パタパタ蒲焼きを焼くように仰ぐ。すると、ぺぺが仰ぐ度に榊から金色の光の粉が置物へと振り注がれていた。仰ぎ方は関係なく神様の御神気は出ているようだ。
「ま、いいか。ちゃんと御神気が出ているし……」
「うん! 出てるからいいよー」
そう言ってぺぺは、なぜかハチマキをした格好になり、パタパタと蒲焼きを焼くように仰ぎ始めた。
小さな神様は、絶対に神様には言わないでおこうと思うのだが、
「ふふふ」
そんな様子を笑顔で見ている神様なのであった。
やっぱりばれてるやん。
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