86日目 風の神に怒られる
妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。
妖精なので、ほとんどの人間には見えない。
今日はすごい風が吹いている。木枯らしというやつだ。
参拝者も今日はほとんど来ない状態だ。
参拝者が来ないのは、この強い風のせいだと思ったぺぺは龍神さんを呼んだ。
「龍神さーん。龍神さーん。この強い風をやませてー! 龍神さんなら、この風やませれるでしょー。お願いー!」
ぺぺはずっと龍神さんにお願いするが、龍神さんはまったく聞く耳を持たない。
だが、しつこく龍神さんに話しかけていると、我慢の限界に達したようで、ぺぺの前にムッとした顔を近づけて、
「それならお門違いだ。風に関しては風の神に言え」
と言ってまた空へと帰って行ってしまった。
「え、違うの? 風の神様っているんだ」
そして見えないが風の神様を呼んでみる。
「風の神様ー! 風の神様ー!」
何回呼んでも姿を見せてくれないので、ぺぺはムッとする。
「出てきてくれてもいいのに。恥ずかしいのかなー。もしかして小さすぎて見えないとか? 小さい神様より小さいから恥ずかしいんだー」
するとそれを聞いていたコマさん達が嘆息する。
「ぺぺ、遠回しに小さい神の悪口を言っておるぞ。それはよくないぞ」
そんなコマさんの注意を無視して風のぺぺは風の神様に文句を言い続けた。
「ぺぺ、いい加減にしないと風の神に叱られるぞ」
コマさん達はどこか遠慮しながらぺぺに言う。
「風の神様ぜんぜん来てくれないんだもん。どうせ近くにいないんだからいいんだよ」
そう言ってぺぺは笑うと、コマさん達は、明後日の方向を向いてボソッと言った。
「後ろにおられるぞ」
次の瞬間、ぺぺは暴風によって飛ばされたのだった。
そこには、ムッとした風の神様が一瞬姿を見せ、また消えた。
風の神様は最初からぺぺの後ろにいたのをコマさん達は知っていたのだった。
風の神の波動が高く、ぺぺには見えなかっただけだったのだ。
「よせばいいのに、ぺぺは馬鹿だな」
「ありゃ、怖がって当分帰ってこないな」
「バチが当たったのだ。いい勉強になったであろう」
コマさん達は、笑うのだった。
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