84日目 蚊に間違えられる



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺがいつものように参拝者が来るのを待っていると、一人の女性がやって来た。


 ぺぺは女性に近寄り周りを飛んでいると、


「ん?」


 女性がぺぺの気配に気付き、キョロキョロし始めた。どうも少し分かるタイプらしい。


 ぺぺは嬉しくなり、


「ねーねー。お姉さん、僕のこと分かるの?」


 と言って、女性の顔の前に行った時だ。


 パチン!


 両手でぺぺを潰した。そのままぺぺは地面に落ちる。


「あれ? 逃げた? やだー。まだ蚊がいるんだー」


 女性は蚊だと思ったようだ。


「また蚊が来る前にお参りしとこ」


 そう言って一歩足を踏み出したら、


 ブチ!


 またぺぺを踏みつけたのだった。





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