83日目 ヘビの神様をあたたかくしよう



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 大分寒くなってきた。


 ぺぺがぶるぶる震えながら川の祠に行くと、蛇の神様がいた。


「へびの神様-。寒くないの? 僕は寒いよ-」


 するとへびの神様は笑う。


「寒くないぞ。わしらは寒さを感じぬ」


 だがぺぺは信じない。絶対に寒いはずだ。


「へびの神様ー、我慢はよくないよー。あ、僕が温かくしてあげるね」


 ぺぺはそう言うと、枯れ葉を集めてへびの神様にかけ始める。


 それを見ていたへびの神様の眷属の者が注意をしようとすると、


「よい。好きなようにしてあげなさい」


 とへびの神様が制した。


「せっかくぺぺがしてくれているのだ。それを断ってはならぬ」


 そう言ってへびの神様はぺぺの好きなようにさせた。


 すると、顔だけ出ている状態になっってしまった神様を見た眷属達は何とも言えない顔をする。


「……神様、これはどうかと…………」


 あまりにもひどい格好なのだ。


「んー。確かにこれはちょっと…………」


 へびの神様も困った顔をしている。


 そんなことはお構いなくぺぺは、せっせと枯れ葉を集めているのだった。


「へびの神様、これで温かくなるよー」


 案の定、すっぽり頭まで枯れ葉で覆われたへびの神様であった。





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