別日⑭ 隣りのお寺の仏様
妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。
妖精なので、ほとんどの人間には見えない。
ぺぺは初めて神社の麓の隣りにあるお寺へと飛ばされ、いや遊びに来ていた。
ここのお寺もぺぺのいる神社と同じく、古い由緒あるお寺だ。
ぺぺは初めはビクビクしていたが、来てみると神社と同じ感じで、とても清らかな気が流れているのに気づき、安心する。
「神様の言う通り、全然大丈夫だー」
ぺぺが本殿に行くと、そこには本尊と呼ばれる仏像が祀られていた。
「わーすごい」
ぺぺが近づくと、
「初めて見る顔だな」
と1尊の仏像の神様が話してきた。
「僕はぺぺですー。よろしくお願いします」
ぺぺが挨拶すると、仏像の神様は笑った。
「神社にいる妖精だな」
「そうだよー。神様は誰?」
「皆、観世音菩薩と呼ぶ」
「へえ」
ぺぺが感心していると、
「他にもたくさん神がおる。挨拶していきなさい」
と言われたので、「はーい」と返事をしながらあることが気になりぺぺは聞いた。
「菩薩さまー。神社の神様とはなんか違うね」
「あはは。神社の神とは種類が違うからな。それにいる場所も違う」
「種類?」
「うむ。ぺぺと人間は違うであろう? それと一緒だ」
「ふーん」
「だが、人間を思う気持ちは変わらない。人間を助けてあげたいと思う気持ちは、私達と神社の神は何も変わらないのだよ」
「そうなんだね。ぺぺも助けてくれるの?」
ぺぺが聞くと、菩薩さまはニコっと笑って言った。
「出来ることならするぞ。そうだ、潰されても痛さが和らぐようにしてあげよう」
そこでぺぺは首を捻り尋ねた。
「潰されないようにするんじゃないの?」
すると菩薩さまは大きく頷く。
「潰されないようにするのは無理だからのう。そこは自分でどうにかしなさい」
やはり神社の神様もお寺の神様も出来ないことは出来ないとはっきり言うんだなとぺぺは思う。
「神社の神様も同じことを言って助けてくれなかった」
ぺぺが言うと、菩薩さまは笑う。
「それはぺぺが自分で乗り越えなくてはいけないことだからだよ」
「そうなんだ。これは修行みたいなもんなんだね」
ぺぺはよく小さな神様や眷属達が言っていることを思い出し言うと、
「それは違う。ただ不注意を気をつけなさいということだよ」
と思いっきり否定された。
違うんかい!
とぺぺは心の中で突っ込みを入れるのだった。
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