81日目 強く思うこと



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 いつもぺぺは参拝者が来るのを見ているが、高確率で参拝者に踏まれる。


 今日も側を飛んでいたら、参拝者の鞄にぶつかり地面に落ちたところを踏まれていた。


「うー。また踏まれた-」


 そこへ小さな神様がやってきた。


「ぺぺ。踏まれると思うから踏まれるのじゃ。そう思うから踏まれるのじゃ」


「そうなの?」


「そうじゃ。何事もそうなると思うと本当になってしまう。だから強く踏まれないということを思うとよいぞ」


「わかった! もう踏まれないぞ!」


 ぺぺは強く思った矢先、


 パチン!

 ブチ!


 参拝者の手がぺぺに辺り、地面に落ち踏まれた。


 それを見た小さな神様は、


「…………まあ、すぐには効果は出ないと思う…………」


 とすました顔をして去って行ったのだった。





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