80日目 蒲焼きお祓い



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺが本殿へ行くと、眷属の人達がバタバタと働いていた。


 今神様と小さな神様は神在祭かみありさいに行っているため、留守の間は眷属の者達が変わりに参拝者の願いとお祓いを請け負っているのだ。


 ぺぺもお手伝いをしようと名乗りでると、


「おおそうか。ではぺぺ、お祓いを手伝ってくれ」


 と頼まれたので、ぺぺは喜んで榊を持ち、どうやるのか観察をする。


 すると眷属の神様がお祓いを受けに来ている参拝者の者に向かって榊をバサバサと神主さんの隣りで同じように振っている。


「わかった。榊を振ればいいんだね」


 するとぺぺは、同じように榊を参拝者に向かって振り出した。


 ぺぺでも大丈夫なのかと心配になるだろうが、榊に力があるためぺぺでもお祓いは出来るのだ。


 だが、その振り方に問題があった。


 それを見た八咫烏のやっさんはゲラゲラと笑う。


「あはははは! あれはどうみても蒲焼きを焼いているようにしか見えないなー」


 まわりの眷属も笑いを堪えるのに必死だ。


 パタパタパタパタ!


「はい! いっちょあがり-」


 そう叫ぶぺぺであった。


 しかし、


 あとからちいさな神様にド叱られたのは言うまでもない。



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