79日目 小さな神様の服



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 小さな神様が何やら悩んでいる。


「小さな神様ー。どうしたの?」


「おうぺぺか。もうすぐ出雲大社で神在祭かみありさいがあるではないか。何を着ていこうか迷っておるのだ」


「ああ。全国の神様が集まるんだっけ?」


「そうじゃ。年の1度の会議だな」


「神様も行くの?」


「あたり前じゃ。神様と私が行くのだ」


 そう言って胸を張る小さな神様を見ながら、ぺぺやそこにいた八咫烏のやっさんは思う。


 また小さい者ばかりで集まるのだろうかと。


 去年がそうであったと龍神さんから聞いたのだ。


「楽しみだのう」


 小さな神様は、また嬉しそうに服を選び始めた。


「同じ小さい仲間の神様に会えるのが楽しみなんだね-」


 そんなぺぺに、八咫烏のやっさんが目を細めて忠告するのだった。


「ぺぺ。黙っておれ。それは禁句じゃ。また機嫌を損ねるぞ」


 と。


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