71日目 視える 視えない



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 今日は休日だから神社は賑やかだ。


 ぺぺが飛んでいると、小さな赤ちゃん達はぺぺに気づいてじっと見ている。


 そこへ小さな神様がやって来た。


「赤ちゃんはかわいいのう」


 小さな神様が赤ちゃんをあやしていると、赤ちゃんはニコニコ笑っている。


「小さな神様ー、小さな神様は赤ちゃんには見えるんだね」

「何を言ってる。わしは大人にも視える者には視えるぞ」

「そうなの? この前の人は見えなかったじゃない」

「ああ。この前の者は間違った情報を流してしまうため、周りの者が視せなかったのじゃ」

「でも僕は見えてたよ」

「当たり前じゃ。お前は視えても差し支えないからのう」


 小さな神様は笑う。


 すると隣りに八咫烏さんがやって来て一言ボソッと言った。


「小さな神様は視えていたぞ。ただ小さくて気付かなかっただけだと思うぞ」


「…………」


 固まってしまった小さな神様をぺぺはゲラゲラ笑う。


「なんだ。僕と一緒だったんだね」


「なんだろう。ぺぺと一緒というのは、なんかあまり嬉しくないぞ」


 そう言って小さな神様は、ぷうと膨れるのだった。





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