70日目 龍神さんに飛ばされる
妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。
妖精なので、ほとんどの人間には見えない。
雨がしとしとと朝からずっと降っていた。
本殿には、用事でいない神様の代わりに龍神さんがいた。ぺぺは龍神さんに聞いた。
「龍神さん、今日は何で雨降らしてるの? 外で遊べないよー」
龍神さんは、ちらっとぺぺを見ただけで応えない。相変わらず無口な物静かな龍神さんだ。
だがそれで引き下がるぺぺではない。
「ねーねー。龍神さん、なんでー」
そう言いながら本殿よりも大きい龍神さんの顔の周りをぐるぐるぺぺは回る。
こうなるとずっとぺぺは龍神さんの周りを飛び回り質問攻めをすることを知っているので、ため息をつき応える。
「これは自然の雨だ」
それぐらい分かってくれと言外に含ませての言葉。
だがぺぺが気付くわけもなく――。
「なんだー残念。じゃあ龍神さん遊ぼー」
と言ってまた龍神さんをもっと困らせたため、
びゅー!
「ひゃー!」
ぺぺは本殿の外の一番遠いコマさんの所、鳥居まで龍神さんの風で飛ばされたのだった。
それを見たコマさん達は呆れた表情で言う。
「また龍神を困らせたのか? いい加減学習しろ」
「………………」
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