69日目 ぺぺ 初めてのおでかけ
妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。
妖精なので、ほとんどの人間には見えない。
ぺぺは何やら神様にお願いをしていた。
それを見た小さな神様が何事かと尋ねた。
「ぺぺ。何を神様にお願いをしておるのだ?」
するとぺぺが応えた。
「初めてお出かけをするから、何があるか分からないからこの御守りに神様の力を入れてほしいってお願いしてるの」
そう言って見せたのはどんぐりだった。
「……御守りねー」
「なにがあるか分からないじゃない? 怖いから神様に守ってもらおうと思って」
「うむ。それはいいことだぞ。神様、ぺぺのためにどんぐりにお力を入れてください」
小さな神様もお願いするが、神様は何故か苦笑いだ。
「やはりどんぐりにはお力は入れれないのですか?」
やっぱり無理なのかと小さな神様が聞くと、
「いや、そういう訳ではないが……」
何故か神様の歯切れが悪い。どうしたのかと思っていると、
「実はぺぺが出かけるのは、隣りにあるお寺なのだ」
「……え?」
小さな神様の目が点になる。
「隣りであるし、お寺だから大丈夫じゃと言っておるんじゃがのう」
そう言って神様ははにかんだ。そりゃそうだろう。まったく必要ないのだ。
「ええー! でも何かあるかもしれないじゃない-! お願い神様ー!」
そう言って神様に近づこうするぺぺの首根っこを小さな神様は掴むと、
「神様を困らせるんじゃなーい! ちゃっちゃと行ってこーい!」
と言って、ぺぺを鳥居目がけて投げ飛ばしたのだった。
鳥居を超えていったぺぺを見ながらコマさん達は、
「やっと行ったか」
と呆れているのだった。
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