67日目 龍神さんのため息



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺがいつものように参拝者の人達を見ていると、中学生の男の子がやって来た。


 本殿に来るとお願いをしていた。


 今日は神様の代わりに小さい神様が願い事を聞いていた。


 それを横で見てたぺぺは小さい神様に言う。


「あの男の子の願い事は無理だよね?」

「何故そう思うのじゃ?」


 小さい神様は首を傾げる。


「だってあの男の子の願い、背が伸びますようにって言ってたもん」


 そこで小さい神様はピンとくる。


「ぺぺー! おぬし、わしの背を見て言っておるなー!」

「だって、小さい神様小さいんだもん」


 ぺぺはそう言いながら逃げると、小さい神様は追いかけてきた。


「待てー! このわしを馬鹿にしおってー! お前も小さいであろう!」


 ぺぺと小さい神様の恒例の追いかけっこが始まった。それを見ていた他の妖精が龍神さんに尋ねた。


「ねえ、やっぱり叶わないの?」

「それを決めるのは小さい神様ではなく、神様が決める」


 そして龍神さんは小さい神様とぺぺを見てため息をついて空へと舞い上がった。

 それを見た妖精達は、


「あ、今龍神さんため息ついたね」

「うん。あれは相当呆れてるね」

「また後で修行が足りないって小さい神様怒られるね」


 と笑う。


「こらー! ぺぺー! 待てい!」


 そんなことは知らない小さい神様はぺぺを追いかけるのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る