65日目 赤い龍



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺが空を見ると、龍が泳いでいた。


 龍神さんだと思っていたら、色が違った。赤い龍だった。


 初めて見たのでぺぺは赤い龍を呼んでみた。


「赤い龍さーん! 赤い龍さーん!」


 赤い龍はちらっとぺぺを見たが、そのまま空を泳いでいた。

 あれ、聞こえていないのかと思い、もう一度呼んでみた。


「赤い龍さーん! 赤い龍さーん!」


 やはりちらっと見てまた何もなかったように泳いでいる。


「やっぱり知らない人には、なかなか話してくれないんだろうな」


 ぺぺは赤い龍さんは恥ずかしがり屋なんだと位置づけた。


 それを見ていた眷属の龍神は思う。


 龍は情報を共有するため、ぺぺに捕まると色々聞かれて面倒くさいからだということを分かっているだけだと。


 降りてこないのが正解だと龍神は思うのだった。


 ちなみに、ぺぺの情報は、神社の眷属の龍神からの情報であった。


「赤い龍さーん! 赤い龍さーん! 恥ずかしがらないで降りてきてー」


 ぺぺはずっと叫んでいたが、赤い龍が下りてくることはなかったのだった。


 





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