64日目 太った狐



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺが稲荷社の狐の神様の所へ行くと、参拝者がいっぱいいた。


 いつも誰もいないのにどうしたのか。


「狐の神様ー。人いっぱいだね」


 すると狐の神様は言う。


「それはぺぺのせいじゃな」

「え? 僕?」


 神様によると、この前写真を撮りに来た女の子達の周りを、ぺぺはぐるぐる回っていたのだ。どうもその時に写真にぺぺが写り込んだらしいのだ。


「え? 僕映ったの?」

「丸い白い物体が映っていたらしいぞ。その写真を撮った後に宝くじが当たったと皆に教えたため、この状態だ。わしは何もしてないがな」

「そうなんだー! でも良かったねー」


 ぺぺは、少しでも狐の神様の力になれたと喜んだ。


 嬉しくて周りを飛んでいるぺぺを見て、狐の神様は複雑な気持ちになる。


 ぺぺには言ってないことがある。


 太った狐がいるらしいと写真の下に書いてあることを。


「これは言えないのう」


 知らぬが仏。


 ぺぺはずっと喜んで狐の神様の周りをずっと回っているのだった。




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