別日⑪ 赤ちゃん



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺがいつものように本殿にいると、100日参りに夫婦と赤ちゃんが来ていた。


 赤ちゃんはぺぺを見ると不思議そうに見ている。


 赤ちゃんにはぺぺがはっきり見えているのだ。


 そしてキラキラと光っている。


 いつもぺぺは赤ちゃんはみんな光っていて綺麗だなと思う。


 ふと見ると、親子の隣りに光る玉がキラキラして側を回っていた。


 ぺぺは、神様にあの光る玉は何かと聞いた。


 神様は言う。


「あの子は産まれることがなくこの世を去った子だよ」


 そして神様は続ける。


「元々あの子はすぐ帰る予定だった子なのだよ。ちょっと勉強しにこの世に来た子だったみたいだね」


「そうなんだ。で、今何してるの?」


「両親がとても悲しい思いをずっとしているから、大丈夫だよって言ってるんだね」


「そうなんだ」


「すぐまた会えるから心配しないでって言ってるね」


「どういう意味なの?」


 ぺぺが首を傾げると、神様は笑顔でニコニコして言った。


「またあの両親の元に行くってことだよ」


「そうなんだー。じゃあよかったね」


「そうだね。だから今日は赤ちゃんの100日参りだけど、両親の悲しみも和らぐように取ってあげようね」


 神様はそう言って、両親と赤ちゃんに何かキラキラ光る粉をかけていた。


 ぺぺは、どうか笑顔が増えますようにと赤ちゃんと光る玉の周りをぐるぐる回るのだった。




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