57日目 歓迎のサイン



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺが本殿に行くと、小さな神様が忙しそうにお仕事をしていた。


 ぺぺは小さな神様のお手伝いをしてあげようと考える。


 そしていいことを思いついたと、せっせと何かをし始めた。


 大きな黒い葉っぱを持ってきて手に持ち、参拝者の周りをパタパタ飛んだり、長い木の枝を腰に巻き付けて地面を這いずり出したり。


 かと思えば、短い棒をつけて這いずり回ったりしているのだ。


 それを見ていたコマさん達は、怪しい者を見るように目を眇める。


「ぺぺは、何をしておるのだ?」

「新しい遊びか?」


 あまりにも怪しいので、コマさん達二人はぺぺに何をしているのか聞いた。


 すると、ぺぺはこう言った。


「この前神様から聞いたんだけど、参拝者は、黒アゲハや、蛇、トカゲ を歓迎のサインだと知っていて喜んでくれるんだって。だから、小さな神様は忙しそうだから、僕が変わりになってあげたの」


 ってことは、最初は黒アゲハで、次が蛇で、その後がトカゲかとコマさん達は理解する。


 そして、


「いやいや、神様が化けて出ているわけじゃなく、本物の生き物を見せているんだけどな」


 と呟いたが、ぺぺには聞こえなかった。


 そして、今度はまた黒アゲハのつもりなのだろう、葉っぱを持ちパタパタ飛んでいた。


 それをみたコマさん達は、


「あれはどうみても 蛾 だな」


 と笑うのだった。





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