54日目 恰幅のいい男性に潰される




 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺは今日も参拝者が来るのを待っていた。


 すると男性が一人でやって来た。


 けっこうお相撲さんばりの恰幅のいい男性だ。


 はあはあ言いながら休憩しながら階段を上っていた。


 ぺぺは、いつものように


「頑張れ! 頑張れ!」


 と応援する。


 男性はやっと登りきると、


「はあ。疲れた」


 と言ってポケットからハンカチを出し、額の汗を拭いた。


 その拍子にポケットから車のキーが落ちたようだ。


 だが男性は気付いていない。


 ぺぺは車のキーを拾い、カチャカチャと音を鳴らす。


 持ち上げるには重いので、鳴らせば気付くだろうと思ったからだ。


 すると男性は気付いて下を向いた。


「あ、車のキー落としてしまった」


 男性が手を伸ばして拾おうとしたら、


「あ!」


 よろけて尻餅をついた。



 ブチ!



 ぺぺはやはり男性のおしりの下敷きになったのだった。



 今日は、ヘビー級の重さがぺぺにのし掛かったのだった。




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