50日目 魔が差す



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺが本殿に行くと、小さい神様が神様の代わりに参拝者の願いを聞いていた。


 参拝者の願いは、厄払いだった。


 ぺぺは小さな神様に尋ねる。


「小さな神様ー。厄払いって何するの?」


「魔にはまらないようにとか、低級霊に取り憑かれないように等、運気が下がらないようにしたりかな」


「魔にはまるって?」


「いきなりその場所に悪い気が出来るというか、良くない穴が出来るというか、そこにはまると事故を起こしたり、怪我をしたりなど、良くないことが起こるのじゃ。よく人間が言ってるじゃろ。『魔が差す』と。それはここからきとるんじゃよ」


「ふーん。ぺぺ見たことないよ」


「当たり前じゃ。神様のいる神社に出来るわけなかろう」


 そういうものかとぺぺは思っていると、小さな神様の上を蚊が飛んで来た。


「あ!」


 ぺぺは、ペシっとしたら、ちいさな神様の頭に当たった。


「!」


「あ!」


 小さな神様がぺぺを睨む。

 

 ぺぺは威張って言う。


「魔が差したの」


「だから魔は神社にはおらんと言っておるだろうー!」


 また追いかけっこが始まったのだった。


 それを見た神様は、


「修行がたりんのう」


 と眉を潜めるのだった。




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