44日目 弟は見えるのね



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺがいつものように参拝者を見ていると、親子連れがやって来た。


 お父さん、お母さん、4歳のお兄ちゃん、2歳の弟だ。


 1年前ぐらいに来た以来だ。


 ぺぺは嬉しくなり、


「久しぶり-」


 とお兄ちゃんの周りを飛ぶ。


 お兄ちゃんは去年来た時、ぺぺに気付いてくれたのだ。


 だから今回も気付いてくれるだろうと近くを飛ぶ。


 でも今回は、気付いてくれなかった。


 成長したから視えなくなったのなのだろう。


 ぺぺは残念に思うが、よくあることだ。


 そう思っていたら、


 バチン!


 両手で潰された。


 ヒラヒラと落ちながら見ると、弟と目が合った。


 そんな弟は、 


「虫さんーいたー!」 


 と叫んでいる。


 ――ああ。弟は見えるのねー。


 嬉しいけど、痛いと思うぺぺであった。




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