42日目 お気に入りはコマさんの頭



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺのお気に入りの場所がある。


 それは、コマさんの頭の上だ。


 今日もコマさんの頭に止まって遊んでいた。


「ぺぺ。邪魔だ」


 コマさんは、さも嫌そうに言う。


 でもぺぺは聞こえないふりをする。


 コマさんは、ふうと嘆息しあきらめた。


 すると、コマさん達2人がいきなり ピン! とした。


 その刹那、1人の参拝者が階段を登ろうとして、躓いて転んだ。


 コマさん達が転ばせたのだ。


「なんでいたずらするの?」


 ぺぺが聞くと、


「違う。悪いものが憑いていたから、転ばせて取ったのだ」


 と言う。


 確かに、黒い何か転んだ拍子に取れて、どこかへ行ってしまった。


「すごい」


 ぺぺは感心していると、コマさん達が言う。


「だが、どうしても頭の上のものは、何をしても取れないのだ」


 その言葉でぺぺは、ピンとくる。


 でも気付かないふりをして、そのまま頭の上に居続けたのだった。


 コマさんは、心の中で、


 こいつは悪霊より達がわるいのではないかと思うのだった。



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