40日目 八咫烏のやっさん



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺが境内を飛んでいると、


 コン!


 何か小さい花の実が頭に当たった。


 「?」


 不思議に思い周りを見ても誰もいない。木から落ちたのかと思い、気にせずまた飛んでいると、


 コン!


 またぺぺの頭に小石が当たった。


 「?」


 2回もおかしいと、周りを探すが誰もいない。


 今度は気をつけて飛んでいると、また


 ビュン!


 今度はぺぺの頭ぐらいの石が横切った。


 あえて気付かないふりをし、また飛び始め、そしてばっと後ろを見たら、


 「あ!」


 八咫烏のやっさんが、ぺぺぐらいの大きな石を投げようとしていた。


 まさか? 投げないよねー。


 ぺぺがじっと見ていると、


 投げやがった。


 「わー!」


 ぺぺが驚いて叫ぶと、石は目の前で花びらに変わった。


 ひゅー。


 ぺぺは、あまりの驚きと安堵で、その場にひらひらと落ちていくのだった。


 そんなぺぺに、八咫烏のやっさんはゲラゲラ笑いながら、


 「ぺぺ。まだまだじゃのー」


 と言うが、ぺぺの耳にはまったく入っていなかったのでした。




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