別日⑦ 盲目の男性



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 いつものように参拝者が下からやって来た。


 ぺぺはいつものように、頑張れ! 頑張れ! と応援する。


 今日は特に応援した。


 なぜならその人は盲目の男性だったからだ。


 男性は一段、一段、白杖で確認しながら登っていた。横には奥さんなのだろう、女性が一緒にいた。人は階段を上りきると、本殿へと向かう。


 男性は慣れたように本殿へと歩いている。


 ぺぺはいつものように男性の横へ行き飛んでいると、男性はこちらに顔を向け微笑んだ。


 目は見えないが、ぺぺがいることをわかっているようだ。

 何かを感じているのだろう。


 男性は本殿の前で手を合わせお参りをする。


 ぺぺは神様に、男性の目が見えるようにしてほしいとお願いする。


 だが、神様は首を横に振る。


「この子(男性)は、産まれる前に決めてきたことなんだよ。だから直すことはできないんだよ」


 そうなんだとぺぺはしゅんとする。


 すると神様は、見てみなさいと言う。


「だからあの子(男性)の守りは、普通の人よりも多いんだよ」


 ぺぺは男性の後ろ、守護霊や指導霊の人数が多いのに驚く。


「ほんといっぱいいる」

「あの者達が、あの子(男性)が危険に遭わないように守っているんだよ」

「そうなんだ」

「あの子(男性)が自分で気付くように、またあの子(男性)が危険な場所に行かないように。そして第3者が教えてあげるように仕向けたりしているんだよ」

「すごいんだね」


 ぺぺは感心する。


「あの子のこの世の修行だから、私が介入しちゃいけないんだよ」


 そして神様は男性の前へ行き、金色の粉をふりかける。


 少しでも危険に遭わないように、気付きやすさを与えたのだと言う。

 そして隣りの女性には、


「頑張りすぎないように」


 と癒やしを与えていた。


 やはり、神様はやさしいとぺぺは思った。


 そして、「頑張ってね」 と 微笑むのだった。



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