36日目 龍神と龍



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺは暑いので、川でバシャバシャ遊んでいると、ある疑問が沸いた。


 だから空を泳いでいた龍神さんを呼んだ。


「龍神さんー! 龍神さーん!」


 龍神さんはすぐに来てくれた。


「龍神さんは、川で泳がないの?」

「…………」

「龍神さんは、なんで川で泳がないの?」


 龍神さんは、何を聞くんだという感じでまた空へ行ってしまった。


 教えてくれてもいいのにとぺぺがふくれていると、川の側にある祠の白蛇さんが笑って言った。


「ぺぺ。龍神と龍は違うぞ。それにほれ、川をよく見てみなさい。龍はおるぞ」


 ぺぺは言われた通り、川をよく見てみると、かわいい龍がわいわい泳いでいた。


「ほんとだー」


 よく見ようと思って覗き込んだら、


 ドボン!


 落ちて流された。



 その横を、同じように龍も楽しく一緒になって泳ぐのだった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る