32日目 白蛇さん



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺがいる神社に、川が流れている。


 そこに鳥居と小さな古い祠がある。


 祠にいるのはとても大きな白蛇さんだ。

 だが 名前が龍神様になっているらしい。


「白蛇さん、なぜ名前が龍神様になってるの?」


 とぺぺが聞くと、白蛇さんはニコッと笑い言う。


「最初に見えた人間が、龍と間違えたのだよ」

「ふーん。嫌じゃないの?」


 とぺぺが聞くと、嫌ではないらしい。


「名前など何でもいいのだよ。そこに思いがあれば私は気にしない」


 そういう白蛇さんは、とても優しい顔だ。


 ぺぺは、じゃあ「白蛇さん」を「龍神さん」と呼ぶことにしようと思いつく。


「龍神さん、 龍神さん」

「…………」

「ねーねー。龍神さんったらー」

「…………」


 まったく無視される。


 何でもいいって言ったじゃないかと、ぶーとふくれると、


「ぺぺは、思いがだめ。それに私の姿を知ってるでしょ」


 と言われた。


 結局、なんでもよくないじゃないかと思うぺぺだった。



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