29日目 虫取りに捕まる



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 夏休みになると子供達が虫取りに来る。


 一人の小学生低学年の男の子が虫取り網を持ってやって来た。

 蝶々を捕まえに来たようだ。


 アゲハチョウを追いかけたり、クロアゲハを追いかけたりしている。


 だがやはりうまく捕まえることが出来ない。


 ぺぺは、


「がんばれ! がんばれ!」


 と近くで声をかける。


 すると男の子がぺぺを見た。

 ぺぺは、まさか? と思う。


 男の子は、ぺぺへとターゲットを変えた。


 いつもなら見える人は歓迎なのだが、今日は違う。

 歓迎できない方である。


 逃げるが、ぺぺはすぐに虫取り網に捕まった。


 我ながらどんくさいと思う。


 そして男の子はぺぺが蝶じゃないとわかると逃がしてくれた。


 ぺぺは、「ありがとう」を言うために男の子の前までいくと、


 パン!


 男の子は反射的に両手で思いっきり手をたたくようにぺぺを挟んだ。


 男の子は感触がないので手を開くと、


 ひゅ~~~。


 ぺぺはぺっちゃんこになって地面に落ちて消えたのだった。





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