26日目 眷属の龍が怒った


 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺのいる神社の神様は、この山の奥に見えるお山の神様だ。

 いつもその山から呼ぶと来てくれる優しい神様だ。


 だからいつもぺぺは、神様を呼ぶ。


「神様ー! 神様ー! 暑いね」

「神様ー! 神様ー! 参拝者がきたよ」

「神様ー! 神様ー! 誰も来ないよ」

「神様ー! 神様ー! ……………………」


 すると神様が言う。


「ぺぺ。私も暇じゃないんだよ」と。


 だが、ぺぺは神様を遊び半分で呼ぶ。


「神様ー! 神様ー!」


 すると、神様の眷属の龍神さんが怒った。



 バチ! ヒュー!



 無言で、ぺぺはお山の向こうに飛ばされた。



 そして、龍神さんは何事もなかったように空を悠々に泳ぐ。


 神様は、気の毒にと 飛ばされたぺぺを哀れむのだった。





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