20日目 龍の暴走



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺのいる神社には、龍がいる。


 というより、龍が空にいると言ったほうがいい。


 ほとんど空をゆうゆうと泳いでいるのだ。


 だが、たまに気分で神社の境内を泳ぐことがある。


 神社の階段の下から、すごい勢いで上ってきて、本殿の屋根へと飛んで行くのだ。


 その時に、突風が吹き抜ける。


 見えない参拝者達は、ただの突風だと思っている。


 だが見えるぺぺ達妖精からすれば、


「げ! 龍の恒例の暴走だ!」


 と慌てる。


 なぜなら、妖精達は思いっきりその突風に吹き飛ばされるからだ。


 今回もぺぺは逃げ遅れ、思いっきり飛ばされ、


 ブス!


 本殿の屋根。茅葺きに突き刺さったのだった。




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