11日目 セミと一緒に……。



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。




 夏になると神社の至る所でセミがたくさん鳴いている。


 ぺぺはセミが少し苦手だ。


 それはミンミンうるさいのと、ぺぺとあまり大きさが変わらないので怖いからだ。


 ぺぺにとっては、ただの『どでかいうるさい虫』なのだ。


 そして一番迷惑なのが、そのセミを捕りに子供達が虫取り網を持ってやってくることだ。


 「えい! やった! 捕まえた!」


 子供が虫取り網にかかったセミを見て喜んでいる。


 子供達にはセミしか見えない。


 だが本当は違う。


 見えてないが、もう一匹? いる。



 セミはその隣りに同じく捕まったぺぺを見て


 お前も捕まったのか。


 と言いたげな目を向けるのだった。






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