秘密の関係
お兄ちゃんは、初めは困ったように私を見てきた。ここで下がったら、きっと私達の関係は変わらない。だから、私も譲らなかった…。
「例のことがあってから…男の人が怖かった…。でも…、お兄ちゃんだけは怖くないんだよ?お姉ちゃんと付き合ってても、私はお兄ちゃんの事がずっと好きだった…。あの人と付き合う事で、大人になれて、お兄ちゃんが私を“妹”として見なくなるんじゃないかって…。お兄ちゃん…あの怖い過去を上書きして…」そう言い、お兄ちゃんの胸に飛び込む。私の事を妹と思ってるなら、ここで断るはず…。
ところが、態度は全く逆だった。強く強く抱きしめられ、ドアの向こうにお姉ちゃんがいた時みたいなキスをしてきた…。唇が離れた時に…「こんな俺でいいのか?お前に辛い思いさせるかもしれないぞ?」「それって、どういうこと?お兄ちゃんは私のことが好きなの?」お互いに質問をしあう。その答えは、キスで返された。
とても優しいキスだった。私達は唇が離れた後、少し見つめあったが、それが答えのように何度も口づけをした。あのことがまだつい最近なので、それ以上のことをお兄ちゃんは求めてこなかった。でも、私の中ではお兄ちゃんなら構わない…と思っていた。お兄ちゃんはポツリと言った。
「俺、これから、やりたい事を叶えようとしてる…。でも、そうなると、恋人なんて、構っていられなくなるくらい夢中になっていると思う。お前の姉ちゃんともそれで別れた…。まぁ、向こうはもう新しい奴出来たっぽいけどな…。あんなに長く付き合って、周りからは“結婚”なんてワードも浮かんで、俺も初めはするつもりだった。でも…それより夢中になるものが出来ちゃたんだ…。だから、お前の事を“彼女”として接することは、ちょっと難しいかもしれない…。」
ちょっと悲しげな目で見ながら、私の頭を撫でてくれた。「それでも構わないよ。私、お兄ちゃんの事、ずっと好きだったもん。傍にいれれば、それで構わない。」目線は、彼にではなく、ずっと先を見ながら、私は伝えた。
「じゃ、“兄妹以上、恋人未満”って事で…」こうして、私達の秘密の関係が始まった…。
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