お兄ちゃんとの距離

高校生になって、私は異性に対して、恐怖心を抱くようになってしまった。それも全部、あの副担のせいだった。でも、中学を卒業し、友達とも別々の学校へ行ったので、黒歴史ということで私はいわゆる高校デビューをした。

今まで、お姉ちゃんっぽい姿でいれば、お兄ちゃんはいずれ、私に好意を持ってくれるのではないか?とか…あの謎の行為だって、私がお姉ちゃんに似ているからしてきたのではないか?とか色々考えて、“私自身”を好きになって欲しいという気持ちもあってのイメチェンだった。

そんなお姉ちゃん達は、まさかの“破局”になった。付き合いが長かったので、私はてっきり“結婚”するのだと思ってた。当然、両親もそう思っていた。

破局の原因は、お兄ちゃんにあった。大学4年生になったお兄ちゃんは、お姉ちゃんと会う時間がすごい減った。なんでも、やりたい仕事を見つけて、そのための資格を取るために、恋人との時間より、将来の仕事に時間を注いでいたからだ。

お姉ちゃんはというと…ショックというよりは、もともと浮気をしていたみたいで、別れてすぐに、新しい彼を私に紹介してきた。お兄ちゃんとは全く違うタイプ。どこか悪な感じがする。これは…長く続かなくて、また、お兄ちゃんとヨリを戻したいとか言いそうだな…。そうならない事を祈って、私の恋が叶う事を祈り、姉の幸せもついでに祈った。

お兄ちゃんは、お姉ちゃんとは会わずに私と連絡をとってくれるようになった。副担のことがあったけど、昔から知ってる人だし、やっぱり好きな相手だから、お兄ちゃんには敵わない。

中学が黒歴史になったので、高校では誰も私の過去を知らない。だから、私は内面は変えず、外見をガラッと変えた。いわゆる高校デビューというやつだ。

もっとケバく、ギャル風にしたかったけど…お兄ちゃんに拒否されて、少しギャルっぽくなった。

お兄ちゃんは、資格のため、一生懸命頑張っている。だから、邪魔にならないようにと、私も新しくできた友達と遊ぶようにしてた。なのに、帰りが遅かったりすると、駅まで迎えにきてくれる。それがなんだか嬉しかった。

相合傘は、私の憧れだった。いつも、雨の日、お兄ちゃんとお姉ちゃんが仲良く相合傘で帰っていく光景に、私は嫉妬していた…。でも、今、その隣にいるのは、お姉ちゃんではなく、私だ。この距離って…どんなのだろう?

友達との恋バナで、私の話としてではなく、知人の話として仮説したら、「それは脈アリなんじゃない?その子?嫌いだったり、恋愛対象じゃなきゃ、相手すらしてくれないよ…」そう言ってたっけ?

今の私達って…“恋人”になれるかな?そう思って、ちょっと周りがそんな雰囲気の中に着いた時、お兄ちゃんの裾を掴んで、上目遣いで見てみた。そしたら…

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