中学生

私が中1になった時、お兄ちゃんは大学生にお姉ちゃんは社会人に。2人の関係はいまだに続いていて、周りからは“結婚”というキーワードが出始めた。

2人は美男美女として、私が中学生になった時に注目を浴びていた。雑誌にまで2人の記事を載せるぐらいだった。

私の初恋はどんどん離れていく。それに自分も中学生だし、周りの友達とも恋バナに花を咲かせているから、新しい恋を探さなきゃと思っていた。

と言っても、周りの男子をお兄ちゃんと比較してしまう自分がいて、とてもお兄ちゃん以上の人に出逢えないでいた…。

中2になった時に、副担の先生がお兄ちゃんと雰囲気が似ていて、少しづつ気になっている自分がいて、“これは恋かな?”と思うようになった。

そうなり出した途端、お兄ちゃんへの気持ちは薄れ、副担の事で頭がいっぱいになっていた。先生の担当は国語で、いつも以上に勉強を頑張るようになった。お姉ちゃん達に教わる事もあり、お姉ちゃんには、先生に恋した事を相談していた。もちろん、お姉ちゃんは私がお兄ちゃんに恋してたことは知らない。これが私の初恋と思ったお姉ちゃんは、私のことをとても応援してくれた。ただ、学校の先生というのが、姉としては気になっていたみたい。付き合うにしても、私はまだ中学生だし…、相手は一応、教師という立場だし…、どこまで責任をとってくれるのか心配でいた。でも、そんな不安を消すように、私はお姉ちゃんに色々話をしていた。「先生は、生徒と付き合っても、ちゃんと責任をとってくれる人だよ。真面目だし、みんなから好評だし…。」

現に、副担の先生は、真面目で授業もわかりやすくて、他の生徒からも慕われていた。だから、姉が心配するような人ではない。

お兄ちゃんはいうと、妹みたいな存在が離れていくのが寂しいのか…あまりいい顔はしてくれなかった。そんな顔をされると、「本当は好きなんじゃ?」ってまた、誤解してしまうよ?

“また”って思うのも、前に小学校を卒業した時に、お姉ちゃん達が私のお祝いをしてくれた。お姉ちゃんが、会社から電話があって、席を外した時に、お兄ちゃんと2人きりになり、私はドキドキした。

「中学生になるなんて早いね〜。俺と初めて会った時は、こんなに小さかったのに…」と自分の掌を腰のあたりまで下げた。

「私、そんなに低くないよ!」とふざけていたら、お兄ちゃんが私の腕を掴み、顔をいきなり近づけてきた。

そして、いきなりのキスをされた!お姉ちゃんはドアの向こうにいる…。何が自分に起こったのかわからないまま、お兄ちゃんは何度も私にキスをしてきた。大人のキスまでされた…。私は初めてのことといきなりのことで、頭が混乱し始めた…。そして、ちょっとしたキスの間が出来た時にお姉ちゃんが戻ってきた。私は動揺を隠しきれなくて、お手洗いに行くふりをして、私は席を外した。心臓の音がうるさくて、お兄ちゃんは「本当は私のことが好きなの!?」と思ってしまった。気持ちを沈めるために洗面台で顔を洗い、再び部屋に戻ろうとした時、部屋の中があまりに静かすぎて、違和感を覚えた…。そう…さっきのお兄ちゃんと私がキスをしていた静かさのように思えたからだ。ドアを少し開けて、見た光景は2人のキスシーンだった。その唇は、さっき私のに触れていたのに…。お兄ちゃんの気持ちがわからなくなった瞬間だった…。そのまま、私は部屋に戻らず、頭を冷やしに外へ出て、夕食の時間に戻ってきた。2人は私が戻ってこなかったのをすごい心配して、怒られてしまった。“お兄ちゃんの気持ちがわからない…”だから、今回のこの寂しそうな顔を見ると、“また?”と思ってしまうけど、“きっと違う…”と首を振って、3人で恋バナをする。お姉ちゃんのアドバイスで、校則に引っかからない程度のイメチェンをして、翌日登校した。

もうお兄ちゃんの気持ちを一回消そう。そう今目の前にいる好きな人を考えて、私は綺麗になったんだ。そう思って、校門をくぐった。風紀委員の先生がいたけど、なんとか、お咎めがなくて済んだ。このイメチェンの効果がすぐに彼に効いた。彼から、放課後呼び出されたのだ。“風紀委員には引っ掛かんなかったけど…先生には不評だったかな?せっかく、イメチェンして、好きになってもらいたかったのに…どうしよう…”

頭の中でグルグル考えていたら、やっと先生が喋った。その一言は「可愛いね」だった。思わぬ発言に、私は目をパチクリして驚いてた。「えっ…!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る