大好き、で繋がる輪_2
週末。家族連れで
「先輩!お待たせしてすみません!!」
目の前のこいつ……
******
事の発端は、数日前の飲み会へと遡る。
その飲み会は、オレが仲のいい
とにかく、オレは好きなものが特撮のヒーローで、
それが
なんでも、一大プロジェクトを一緒に乗り越えるうち、同期の彼らは色々な話をするようになり、仲が随分と良くなったのだという。その時、深夜の作業中、
「このプロジェクトの納品、この日の午前中には終わるよな……?」
「え、あぁ、まぁ。計画じゃあそうなってるな」
「……いける……か……?」
「は? 何が?」
そこで初めて、
「……この日、ヒーローショーなんだよ。今の演目、最終日なんだ」
そんな話を聞いて、自分もモンスターアニメが好きな
その日の飲み会の時、オレはほとんどはじめて
「ヒーローショー行って、写真撮るのが趣味で」
そういった後輩の言葉に、ヒーローショーが眼中になかったことに初めて気が付いたくらいだ。それに気が付いて思わず、
「え、でもいいなぁ、ヒーローショーか。行ったこと無いな」
と、ぼやいたオレ。すると
「あの!今度よろしければ週末、是非!一緒に行きませんか!!」
******
……てなわけで今。オレと
「さ、行きましょうか!」
「お、おう……」
戸惑いを隠しきれないまま、
――それから、数時間後。
オレはまだ、夢の中にいるようにフワフワしていた。
「先輩、大丈夫ですか?」
「ちょっとここで座って待っててください。なんか飲み物買ってきます」
近くのベンチに座らされ、
……いや、もう。なんていうか。語彙力全部無くすくらい、かっけぇかった……
ショップは空いていたのだろう、
「コーヒーで良かったですかね?」
『一応、お茶もあります』、そう2つのカップを目の前に出されて、ありがたくコーヒーの方をいただいた。
「わり、さんきゅ」
「いえいえ、全然」
「あの、どうでした……?」
目の前に出てくる怪人たち。ちびっ子たちがキャーキャー騒ぐ中、オレも声には出さずとも『おぉ!』だの『うわっ!!』だの、そりゃあもう楽しんでいた。と、思ったら、敵幹部まで登場して『まじかぁああ!』とボルテージが上がり。そうしてそこにやってくる、待ち望んだ大好きなヒーロー。
ショーが終わった後は、写真撮影を兼ねつつ握手タイムもあって。あぁ……オレ……
「ヒーローと、握手、しちゃった……」
そう言った声が、ちょっとだけ震えてて。オレの大好きなヒーローはやっぱり、いつになってもずーっとかっこよくて。
「……ショー、ハマりそう……」
そう思わず呟くと、
「また近々、ショーの情報入ったら、先輩にお声がけしますよ」
そうしてまた、オレの世界はほんの少し、広くなったんだ。
大好き、で繋がる輪 CHOPI @CHOPI
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