第20話 アレス王子
「あの、ご気分が……わるくなりましたか?」
ミスティアはアレス王子におそるおそる話しかけた。
「いえ、そういうわけではありません」
ブライアン公爵が話に入ってきた。
「アレス王子、乳母のことを思い出したのか?」
「ああ、まあ、ちょっとな」
ミスティアはそれを聞いて、心配そうな表情でアレス王子を見つめた。
ミスティアの視線に気づいたアレス王子は、微笑んで言った。
「静かだけれど、奥に情熱を感じる素晴らしい曲でしたよ、ミスティア様」
「……ありがとうございます」
ミスティアは、やはり出過ぎた真似をしてしまったと思い、赤くなってうつむいた。
ワルツが終わると、音楽家たちはまた静かな曲を奏で始めた。
「どれも素敵な曲ですね」
リリアが無邪気に微笑んでいる。
「私の好きな曲を演奏していただいたので、リリア様たちの好みとあっていたなら嬉しいです」
ブライアン公爵は優しく笑って答えた。
アレス王子もにこやかに音楽を楽しんでいる。
ミスティアはアレス王子の様子を見てほっとし、自分も音楽に心をゆだねた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます