その時の彼女

「ただいま…あのエロ娘に捕まるなんて…嫌な予感がするわ」

「…帰ったか彩夜」

「ええ…夜宵は?」


場の空気は氷河期と化す

彩夜はどこか暗い雰囲気をまとっていたがどこか余裕を感じさせる

それはきっと夜宵は自分から離れない自信のようなものがあるにほかならない

せいぜい買い物に行った、もしくはVTuberになったから帰りが遅くなったか

どちらかだと思っていた


「夜宵なら出ていった」

「…おじさん、冗談はやめて…」

「本当だ」

「…なんで…なんでッ!」


彩夜は今までの余裕を感じる雰囲気から一変

どす黒い感情が溢れ出る


「…理由は2つだ。あいつを縛るのは間違ってると思った…それとお前のためだ」

「は?何言ってるの?」

「お前は…お前の母、姉さんにだんだん似てきている。お前が姉さんのような過ちを犯して欲しくなかった」

「…そうかしら?」

「え?」


先程までの緊迫した空気はどこえやら

場の空気は一瞬にしてあっけらかんとしたものになる


「私ただ夜宵に愛を囁いてるだけなのだけど?」

「いやいやいやお前のアレは傍から見ればただのいわゆるヤンデレとかいうやつだったぞ?」

「確かにぽいことはしてるけどあれ全部演技よ。そうすれば夜宵は私のそばに居てくれるから…ついついやってしまうのよ」


おじさんは数秒の放心状態から立ち直ると眉間に皺を寄せて難しい顔をする

おじさんのお節介はなかなか成功しないけどさすがに今回のはないわね…

よりにもよって夜宵を放り出すなんてッ!


「それで!夜宵はどこに住んでるの!?どうせ保証人になってるから住所知ってるわよね?!」

「いや…名前貸しただけでそれ以外は…」

「おじさんわかってるの!?あの子の父親刑期終わって出所してるのよ!1回しか見てないけどあの男やばいわよ…絶対に夜宵を見つけようとするわ…!」


夜宵の父親は児童虐待と暴行と窃盗で刑務所に服役していた

夜宵のことをもっともっと知りたくて何とか見つけた時は1に疑問が浮かんだわ

なんでこんな人間からこんな天使が生まれたのかって

そして2に人に恐怖した…

夜宵はこの男との記憶がある

もしあの男と夜宵が再開したら…考えたくもないわ


「それなら大丈夫だろう。夜宵が家を決める時防犯をしっかりしたとこを選べと何度も念押しした」

「…そう…でも」


おじさんは知らないわ

私が何より恐れてることを

この世界は広くて狭い

そして夜宵はVTuberになってより世界を広めたわ

それはきっと喜ばしいことだけど同時に知らなかった方がいいことを知る可能性も高くなる


「夜宵は自分の母親が生きてるって思ってるのよ…?もう死んでるって微塵も考えてない。自分を棄ててから幸せな日々を送ってるって…ほぼ真逆の人生を歩んだと知らずに…」

「…そうか…だからお前は自分から離したくなかったのか」


夜宵のことが好きで好きで殺したいくらい愛してるのはもちろん本心から来るもの

初めて夜宵を見た日からずっとそうだわ

お母さんは私と同じで殺したいくらい愛してるよって何度もお父さんに言ってた

それが普通だったから私も殺したいくらい愛すことは普通だと思ってる

でもお母さんは行き過ぎたのね

お母さんはお父さんを殺して自殺した

私の愛についての考えはお母さんに似てると思うわ

でも私の殺したいくらい愛してるはお母さんの行動に移すような愛じゃなくて純粋に大きさよ

そうおじさんに言うとおじさんは


「そうか…もう…義兄さんと姉さんのようなことを起こしたくなくてな…お前に黙っていてすまんかった」


正直俺はこの子の育て方を間違ったかもしれない

夜宵とであったこの子を見るとそうおまわなかった時はなかった

だが私は何もわかっていなかった…この子の親になると決めたのに

義兄さんと姉さんに顔向けできないな…






「そうだよね、私の事好きだよね?私も好きだよ。殺したいくらいに。ねぇ?なんでいなくなったの?君を知っていいのわ私だけ、君を愛していいのは私だけ…でもね!私のこと好きって言ってくれたからちょっとだけ許してあげる!いつかは私だけのものにしてあげるからね…殺したいくらい愛してるよ…夜宵…」


夜宵の2回目の配信を見ながら彩夜は呟いていた

その時私は思った…

やっぱり道を間違えたかもしれない


「…彩夜?」

「…ん?おじさん何かしら?」

「いやお前が姉さんそっくりでつい」

「…ちょっと感情的になったわね…こんな長い間離れたこと無かったからつい。気をつけないとね」

「そ、そうか」




昨日は感情的になりすぎたわね…

心に穴が空いたような感覚がずっと続いてくるわ

…事務所で待ち伏せすれば…ってダメよあの子のことを尊重しないと

大丈夫、会えないってわけじゃないわ

次会ったらどうしようかしら?

とりあえずギュッとして寂しかったって私の気持ちを沢山伝えましょう

それから…


「おっはよう彩夜!」

「…何かようかしらエロ娘」

「ちょ、だからやめてよ配信以外でそう呼ばないで!前世バレしちゃう!」

「私たちの事務所のライバーだいたい前世バレしてるでしょ。それでなによ?」


私たちの事務所は意外と緩くて前世バレは意外とされている

かという私もバレている

このエロ娘のせいで


「ふふふ、なんとコラボが決まりました!にゃーなちゃんと!」

「…は?」

「前々から狙ってたんだよね〜!どんな子かな?ん〜たーのーしーみー!」


ここは我慢するのよ

ここで言ってしまったらあの子の努力が台無しになるわ

わざわざ2人が会わないように根回しし続けてきたのにまさかここで無駄になるなんて…

我慢…とにかく我慢…


「何しようかな〜!服はぬがせてみたいな〜!」


我ま…


「死ね」

「え?」

「にゃーなに手出したら殺す。いいね?」

「ひゃい!」


このエロ娘だけは合わせたくなかったのに…

社長も何考えてるのかしら

私が苦悩してると言うのに…


び、びっくりしたー!

…ふふふ、でもね彩夜手を出すなと言われてはい、そうですかとわ行かないよ!

すっごく怖かったけど!死ぬほど怖かったけど!ちょっと涙目になったけど!

もしも私の理想の子だったら…!

…とりあえず楽しみだな〜


ーーーーーーーーーーーーーーーあとがきーーーーーーーーーーーーーーー

時間が無いです

というか足りないです

なので今回は短めでした

さて、前話はヤンデレと指摘されました!

これ以上誤解する人を増やしたくないので今回投稿しました!

…ここだけの話もっと先で登場させたりこのお話出す予定だったんですよ!

まぁ自分の中で「殺したいくらい愛してる」はお気に入りで結構使っていきたいと思っています

1話の1番最後が彩夜で2番目が「エロ娘」でした!

てことは1番目の人は1体…?

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです!



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