毒舌美少女の弱点見つけた

 早乙女桔梗とは、清水さんと同じく学校で一二を争う程可愛い子だ。


 この学校で、一番可愛いのは誰かと聞いて回れば、男女問わずだいたいこのふたりの名前が出てくる。

 まあ、若干だが早乙女さんの方が多い。


 何故なら、清水さんは毒舌で、早乙女さんは聖女だからだ。

 清水さんの口の悪さは周知の事実で、告白してきた男子を毎回泣かせてる。

 そういうところから、少し恐れられている。


 つまり、1位は優しい早乙女さんということだ。


「事実を言ったまでだよ」


 俺は清水さんの瞳を見つめ真面目に答える。


「……そう。死になさい」


 あら、どうやって殺されるのかしら。


「ちょっと待ってくれ」

「嫌よ」


「いや、待ってくれ」

「嫌」


「待っ――」

「い――」

「少しぐらい待てやおら!」


 やべ、ほんの少しだけ言葉が荒くなってしまった。


「きゅ、急に何よ?」


 あれ?何かしおらしくなったぞ?

 あ、こいつびびってやがる。


 今のうちに俺の言い訳聞いてもらおう。


「確かに事実は言った。でも俺の考えは違う。そう、俺はこの世で一番美しいのは、清水さんだと思っている!!」


 決まった。

 延命確定しました。

 後はお馴染みの男子泣かせの毒舌頂いて泣いて帰るだけです。


「……そ、そうなのね」


 ん?あれ、聞き間違い?毒がないぞ?

 清水さんを見上げると顔を背けて髪をくるくると弄っている。

 ちょっと耳が赤くなっている。


 ……こ、こいつまさか。


 褒められるのに弱い!!


「そうだ。初めて会ったときからこの世で一番美しいと思っていた!」


「も、もうやめてっ」


 清水さんが両手で顔を隠す。はみ出る耳が真っ赤になってる。


 やべぇ、楽しいんだか。


「……可愛いな」


 あ、本音が漏れちゃった。

 顔を上げると、顔を真っ赤にした清水さんと目が合った。


「ッ!も、もう帰るからぁ!」


 羞恥に耐えきれなくなったのか清水さんが走り去っていく。


 教室が静かになる。

 だけど、俺の胸の高鳴りは静まらなかった。


「あの清水さんに勝った!」


 俺は達成感とか満足感とかで胸がいっぱいいっぱいだった。


 だって、告白してきた男子を毎回泣かせるっていうあの清水さんを撃沈させたんだぞ?

 これは快挙だ。これで、もう清水さんを怯えることはない!


 男子諸君、俺は攻略したぞっ!


「でも、まさかべた褒めに弱いとはな」


 告白とかでべた褒めされたりしなかったのかな?

 んー、でも告白なんて「好きです、付き合ってください」ぐらいしか言わないのかもな。

 告白したことないから知らんけど。


 ま、宿題もちゃんと取れたし帰ろう。

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