女子に踏まれたいは犯罪では?
朝。俺のクラスは騒がしい。
何故なら、
「今日も可愛いなぁ」
「だな」
「踏まれたい」
清水さんがいるからだ。
つか、誰だよ踏まれたいって言ったの。ぎりぎり性犯罪だろ。
真ん中の席に座り本を読む清水さんの周りには誰もいない。
みんな距離を取って、拝んでいる。
もう、神か何かかよ。
実際には神々しくて近づけない、ではなくて正しくは怖くて近づけない、なんだが。
神は神でも、「触らぬ神に祟りなし」みたいな疫病神みたいな扱いだ。
仮にも挨拶でもしてみろ。
「朝から嫌な声聞かせないで」
そう、返されること間違いなし。つか、実際にそのやり取りあったわ。
2年生なっての初登校。そこそこのイケメンが清水さんとお近づきになりたかったのか挨拶したら、あの毒が出たんだ。
それ以降、清水さんに挨拶した者はいない。逆もまたしかりだ。
え?そのイケメンはどうなったかって?
心折れて不登校になってる。
がたっ
ざわりっ
教室がどよめく。
クラスメートの視線は一ヶ所に集まっている。
突然立ち上がった清水さんにだ。
「ど、どうしたんだ?」
「誰かが怒らせたんじゃない?!」
「い、今!今踏まれたい!」
はい、アウトー!ガチでアウトです!
そんなことどうでもいい、と一蹴するかのように清水さんが動き出す。
身体を後ろに向け、頭を下げて歩き出す。
「望月の方に向かってないか?」
誰かがそんなことを呟いた。
俺の席は真ん中の一番後ろの席で、俺は今もなお椅子に腰かけている。
んー、確かに進行方向は俺の方だけど俺の周りにいる誰かかもしれないしな。
……な、何だとっ?!俺の周りに誰もいない!
みんな逃げやがったな!
「うわ、望月ドンマイ」
「何したんだろう」
「踏ま(以下略)」
待て待て!俺が何したって言うんだよ!
うん、結構しました!
でも言い訳すると、どうかしてました。今思えばライオンに「お手」してるようなもんだわ。
そんなこと思いながらも、とうとう清水さんは俺の席のすぐ前に。
うつむいていて表情が見えない。
「ぉ……」
お?「お」ってなんだよ?!なんだよ!!
清水さんが初めて顔を上げる。すると、顔を赤く染めてはにかむ清水さんがいた。
「お、おはよう、望月くん!」
「お、おはよう」
満足したのか清水さんが席に戻っていく。
『えぇぇぇぇえええええええええええっっっっ?!!!!』
学校が驚きの絶叫で震えた。ちなみに俺の声も入っている。
それから俺は男子共に質問責めされていた。
「あれはどういうことなのか?」と。
俺もさっぱり分からないんだが、あまりにもしつこかったから教えてしまった。
『清水さんはべた褒めに弱い』と。
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